鹿野学園6年生②「ヤギ博士のヤギ語講座」(2023年7月)

●活動目標:自分たちが好きな食べ物を体とオノマトペで表現してみよう
●ねらい:特徴発見力・身体で話す力
自分たちに馴染みのある対象をいつもと違った目線で観察し、他者と共有しやすい端的な特徴を見出す。身近な表現手段「言葉」を使わないことでより自由な発想・表現を目指すようになる。
2023年7月5日(水)・6日(木) 9:40〜11:20)
進行:齋藤 サポート:ごっちゃん、たろ、コスー、れんれん、さかもつ、りょこ 撮影:おく、まめ2号

1.導入  5min
 今回のワークショップについてふれる。齋藤さんの「今日やる劇はセリフがありません!」に喜んだりほっとする子もちらほら。
2.アイスブレイク「ジェスチャーゲーム」  〈グループ〉15min
 班ごとで行い場の空気を温める。1人ずつ、お題の書かれた紙をランダムでスタッフが見せる。その内容をジェスチャーで表し、その他の子が答えを当てていく。
→若干の気恥ずかしさがあり演じるよりは当てる方がやや得意な印象だが、テンポよく進んでいた。中には簡単すぎるからもっと難しいお題を出して欲しいと言ったり、スタッフ側に演じてほしい(私たちは当てるから)など周りを引き込む発言も出ていた。
3.ヤギ博士のヤギ語講座  〈グループ〉 45min
 ヤギ博士が突然登場する。言葉がわからないヤギに人間の美味しい食べ物について伝えるには?という体で、ジェスチャーとオノマトペを使い劇に仕立ててみようという課題が出る。
スタッフが見本としてステーキをお題に劇を披露する。ここで示したいのは、体を使って表現すること、オノマトペを利用すること、囚われない自由度、そして楽しむこと。さあ、6年生はどんなふうにチャレンジするかな?

→1班は動きがスムーズで撮影への取り掛かりが早かった。男の子が遊びがちだったところを女の子がうまく引き込んでいた。
2班は良くも悪くもムードメーカーな生徒がおり、その生徒を中心に後半は積極性が出た。プロデューサー役の生徒も現れ、形にすることができた。
3班はほぼ全員からアイデアが出た。リーダー格の生徒はいないがアイデアと共にポーズも決まっていくので展開が早かった。
4班は「何もない」「なんかヤダ」などの発言が相次いだものの、スタッフが「何もないを表現するのってむづかしいんだよね〜」という切り返しをして表現することを崩さないようにした。
5班はお題の食べ物に思い入れがないのか、進めるのが困難な時間もあった。しかし焼きそばをカップ焼きそばにしてみては?など良いアイデアが生まれていた。
4.各班の劇発表  〈グループ〉 15min
1班のお題は餃子。肉に愛情を込めるシーンなど、他の班にはない気持ちの面を表していた。餃子の皮を表現するためにヤギ博士の白衣を借りる発想と巻き込み力も魅力であった。
2班のお題はハンバーグ。食べる人の口を表現したのは唯一この班で、フォーク役が刺した瞬間チーズがとろっと流れるシーンが分かりやすかった。工程を細かく設定したので練習時間がもっと欲しかったとのこと。
3班のお題はラーメン。なるとやスープのきらめきの表現方法が目を引いた。全員で同じ動作をするところと別々のものを表し一つのものになっていく対比がよくできていた。
4班のお題はかき氷。大きな氷の塊が割れてゆく、最後に氷がゆっくり溶けて水になるシーンが秀逸だった。
5班のお題は焼きそば。この班はぐるぐる回るなど全員で同じ動作をするところと一人一人で同じ動作をする食べるシーンの対比があり見やすかった。
→評価したい点
ほとんどの班が、温まってからは頭をつきあわせワークをやれていた。発表中に帰るなど臨機応変な対応ができている班もあった。
→次に繋げる点
明日は自主性に任せられる班はそのようにし、各スタッフが全体を回るのが良いのでは。ジェスチャーが相手に伝わらなかった際のヤギ博士の対応はヤギに伝わったどうかジャッジにすると当たりが優しくなるのでは。アイデアが出過ぎて収集つかない場合、大人のサジェストが必要と思われる。
5.リフレクションシート記入 10min
+++++2日目+++++
6.先生の省察活動
 昨日の動画を見て活動を思い出す。先生から「もっとよくするにはどうすればいいだろう?」との問いがある。鳥劇スタッフより、各班の動画を流しながら印象に残っているところや良かったところを伝える。テンション低めだった6年生も少しずつ笑顔が出てくる。

齋藤さんより「大人だって話し合いって上手とは限らないんだよ!」の声かけから、どうすれば話し合いを経て改善点を改善できるかの方法が伝授される。ポジティブに進められるように「良かった点」から挙げるのがポイントであった。各班に分かれ、付箋に言葉を書き模造紙に貼ってゆく意見出し方法を行う。

→班のカラーがそれぞれなのでいろんな姿が見られた。「反省点しかない」と言う生徒の班は「最初から反省点が見つかるなんてすごい!」と伝えて改善点から挙げていったり、付箋の全体数は少なかったが生徒の気持ちに寄り添う時間を重視した班もあれば、ほぼ生徒だけで意見出しができた班も。
7. 省察後の活動
各班で昨日の発表内容をブラッシュアップするにはどうすればいいか、話し合いながら形にする。
→全体としては、やはり鳥劇スタッフが適宜サポートをして生徒たちの光が現れるとの印象があった。積極性のある生徒やアイデアマンの生徒が発揮できるには、年齢的な自分を覆う殻やバックグラウンドを考慮する必要がある。

劇自体は、テンポよく進むことで無駄な時間がなく洗練された班、見る側に立ちわかりやすいジェスチャーを取り入れた班、お題の食べ物をウーバーイーツで頼んだことにしてガラリと視点を変えた班など、工夫が表れていた。それはつまり彼らが苦手と言っていた話し合いができて形に仕上げられたということなので、ワークショップとしては一つの到達点に至ったのではと感じる。
今後の課題は、学校側の求めるものを鳥劇側でどこまで介入するか、関わる全スタッフが共有すること。