鹿野学年9年生①「思い出演劇」(2024年6月)

◯日時:2024年6月3日(月)・4日(火)
    3~4校時 9:45〜11:35 (計100分)
◯進行:より
◯サポート:ごっちゃん・こすー・まっちゃん・おくさん・せん
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今回のトリジュクの活動目標は、「中学生活をまとめて振り返って、お芝居にしてみよう」です。鹿野学園9年生にとって最後のトリジュク、「表鷲科」の集大成ともいえる2日間は、どのような言葉が飛び交い、どのような表現となったのでしょうか。

今回の学習目標は、「これまでの“自分”を俯瞰してみる」こと。生徒のみなさんには、宿題として、中学校時代にあった出来事を思い出してもらました。
そのときのポイントは、小さな出来事に面白さを見出すこと。大きな出来事よりも、一見すると他愛のない、見逃してしまいそうな、ちょっとした出来事にフォーカスを当ててみます。
出来事をクラスメイトに伝える、それをお芝居に起こすワークに取り組む中で身につけたいのは「詳しく振り返る力」と「身近な面白さ発見力」。

生徒たちは、選んだ出来事を、ほかの人に説明し、時には質問に答える中で、細かいこと(天気・会話・相手の表情などなど…)を思い出します。また、「印象に残ったのは、なぜだろう?」と理由について考えることもあるでしょう。このように、詳しく振り返りをしていく力を養います。

もうひとつ。ワークに取り組む中で、一見すると他愛ない出来事のほうが、創作に向いる。お芝居として起こす中で、他愛のない日常の面白さに気づく「発見力」がねらいです。

その先には、ユニークな面白さが出てきたとき、全員で「それおもしろいね」と共有されるような状況が達成されれば、なお喜ばしいことだと考えられます。
======1日目====
《ワークショップ内の様子》
「おはようございます!」の挨拶がすこ~しだけ元気のない、二限目の授業のはじまり。まずは頭と体を起こすために、体を動かすところから!丸めたタオルを落とさずに、チーム内で何回ラリーを続けられるかトライ。練習タイムを経て、いざ本番!最初は遠慮がちだった生徒さんも、徐々に積極的になっていきました。本番で一番多かった回数は8回。タオルバレーボールで、少し体がほぐれました。
さて次は、「思い出インタビュー」です。このWSの事前課題として、生徒さんは、中学生時代の思い出(楽しかった、面白かった、悲しかった、怒ったこと…などなど)を書き出してきてくれています。それをもとに、班のメンバーで発表しあいます。

ポイントは「詳しく振り返る」こと。聞いている人も「なぜ?」「どんなふうに?」とツッコんで質問してみよう〜!と、進行のヨリさんから指示があります。少し恥ずかしげな生徒さんの多いグループには、鳥劇メンバーも入り、ひとりひとりの思い出が詳細になるようにサポートしました。その結果、「学校が休校になった日、テンション上がったよね!」「帰り道、とても怖かったんだよね…」など相手の話に、共感や質問する反応がたくさん出てきていました!

それをもとに、創作タイム!班で、ひとつの思い出を短いお芝居にまとめていきます。指定されたルールのうち、「全員セリフ(もしくは音)を発すること」「動物・物を登場させること」をとても意識して作ってくれました。話しあいのときには静かだった人も、班のメンバーからのアイデアにのっかり、しっかり役になりきることもあり、状況によって違う姿があるのが印象的でした。
そのあとは発表の時間です。ミニ思い出芝居の6つの上演では、「台風の日の途中下校」「先生が泥でスベッた瞬間」「帰り道怖かった」「音楽の授業中のカメムシ」「リレー大会での悔しい思い出」など、中学生時代のワンシーンを演じてくれました。

《スタッフ・先生の振り返り&感想》
先生からは、生徒さんの「相手の意見の聞き方」についてのグッドフィードバックをもらいました。話し合いのときに、相手の意見を尊重できている様子が印象的だったとのことでした。また、声や音など、それぞれの個性が出ていたため、2日目はそこに磨きをかけられたらいい、というコメントも。また、今年新しく鹿野学園へ来られた先生からは「生徒がつくるシーンが意外で、ついお客さんとして見ていました!」との感想もありました。

鳥の劇場チームからも、小学生のころと比べて「俺が!」「私が!」と主張を押し通すことが減ったという感想が出ていました。ですが、決して消極的なわけではなく、相手の話に耳を傾け、話し合いを展開させたり、創作の一部として取り入れていく行動として表れているように見えました。

《鳥劇スタッフの振り返りメモ》 
【みんなで決めること】作品をひとつに決めるときに、じゃんけんをで決めていたチームがあった。その手段の選択が「みんなにとって公平となるため」なのか「決めかねる(話し合いへの意欲が低い)から」なのか、その経過する必要がありそう。
【創作活動に入魂!】リフレクションシートの中で、演技のポイントを知りたいという声があった。参加していた生徒さんから「褒めるだけではなく、もっと厳しくしてほしい」と意見をもらったこともある。なので、明日は芝居の精度をあげるためのアドバイスもしていこう!

=====2日目=====
まずは、省察の時間。最初は、3・4年生のときの授業風景の動画を見ました。(ヨリさん、動画編集おつかれさまでございました~)5,6年前の賑やかすぎる自分たちの様子を見て、教室は大爆笑に包まれました。生徒さんは「あんまり人の話を聞いていなかった」と、当時を振り返ってくれました。

そのあとは、1日目の授業で撮影した動画を見ます。省察タイムでは、先生からの「3、4年生のときと、何が変わった?」という問いを受け、「人の話を聞くようになってる」「話し合いが上手になった」と変化を実感する生徒の声が多く出てきました。

さて、今回のテーマは「人に伝えることを、より意識しよう!」です。鳥劇のスタッフからコメントの時間。昨日の「演技のポイントを知りたい!」という生徒さんからのリクエストをうけ、鳥劇スタッフは、演劇的な視点でのアドバイスを行いました。生徒さんは、自分たちのチームの発表については真剣に聞く姿も。
それを受けて、グループで創作ブラッシュアップタイム。もらったアドバイスを取り入れて、再度制作。ときには、鳥劇スタッフのサポートを受けながら、より伝わる作品をつくっていきます。発表前に、班の中で何度も練習し、試行錯誤を重ねる班もありました。
最後は、発表タイム!発表の順番を決めるときには恥ずかしそうにうつむくのですが、いざ発表の瞬間になると、楽しそうなのが9年生のポイント。昨日よりも、役がわかるようにセリフを足してみたり、声の音量をあげてみたりと、お客さんにとってより伝わるお芝居になったグループばかりでした。

《鳥劇スタッフの振り返りメモ》
・最初は、全員が「自分のことをシーンできた」という喜びを感じてほしく、全員分の思い出をシーンにしようと計画していたが、ひとつの思い出をじっくり作り込むこととなった。これも、「自分」のものではない経験を創作にしていくということが自体が、「他人ごと」を「自分ごと」にするプロセスでよかったんじゃないか。
・発表をする前に、1度動画を撮影してグループ内で見てみるのはどうか。お客さんからどのように見えるかを把握し、客観的な視点をもつことで、より伝わりやすい演技になるのでは?
・コメントをする役割について。ヨリさんが「褒める」、他の俳優が「アドバイスする」という分担をしたほうが、時間的には効率的だったかも。

※参考※
▼参加生徒の事前作業:中学校生活を振り返る(1)
事前作業:中学校生活を振り返る1
個人で作業。中学校時代の出来事を「面白かったこと」「嬉しかったこと」「ムカついたこと」「悲しかったこと」「悔しかったこと」「怖かったこと」「びっくりしたこと」「どきどきしたこと」など、それぞれに当てはまる事柄を具体的に思い出して書いてみる。※学校以外のことでもOK。
▼プログラム
1日目
⑴【アイスブレイク】 タオルバレーボール〈3グループで〉15分
⑵【思い出インタビュー】中学生活を振り返る〈4グループで〉 25分
※それぞれのチームに、撮影部隊として鳥劇が1人つく。
事前作業で選んだ思い出を理由と一緒にグループの人に説明。聞き手が感   想を述べたり、詳しく聞きたければ、話し手にインタビューしたりしながら進行。グループ内で最もなるほどと思えた「思い出」を一つ選ぶ。
 休憩10分
⑶【創作】中学校生活を振り返る(作業:30分+発表:10分)〈4グループ→みんなで〉
 選んだ思い出をお芝居にする(鳥劇例実演)。
 必ず一人一つのセリフは言うようにする。人間以外の動物やモノを必ず登場させる。途中「スローモーションになる」もしくは「ストップモーションになる」を入れるようにする。
⑷【話し合い】翌日に向けて〈6グループで〉 10分
⑸リフレクションシートを書く。 10分