鹿野学園8年生①「桃太郎にツッコミを入れよう!」(2024年6月)

活動目標:物語の背景を自由に想像してみよう。自由に表現することを楽しもう。
学習目標:「ツッコミ力」・「一緒にツッコミ力」
2024年6月17日(月)、18日(火) 2・3校時(9:45~11:35)
進行:齊藤 GF:後藤、小菅、松下 撮影:奥田、田中

設定にあやふやな部分の多い物語を題材に、素直に感じる疑問をぶつける(ツッコミを入れる)ことで、普段と違う物の見方をする必要がある。また、その過程を経ることで、”あたりまえ”のいい加減さを感じることも期待される。

+++1日目のプログラム+++

①アイスブレイク「大縄回し」(20分)
まずはじめは、学校の職場体験で劇場に来てくれたWさん、Sさんが考えてくれた「大縄回し」を行います。グループによって雰囲気が違う(きゃっきゃと騒ぐグループもあれば、無言で縄を飛ぶグループも)様子が印象的でした。

②「桃太郎」にツッコミを入れる(25分)〔説明5分+作業時間10分、発表5分〕
「桃太郎」の話の中で「なぜそうなった?」と感じるところを選ぶ。発表の形式は、「XXにもの申す!」で始め、そのあとに「XXXX」とツッコミを続ける。

7人チーム、6人チームに分かれ、まずは個人でワーク。シートにある「XXにもの申す!」の「XX」の部分と、そのあとの空欄の部分にツッコミを書きます。
題材の文章に線を引いていく人、先生のサポートがあり進められる人、自分でグイグイ書き進めていく人など進度はさまざま。そのあとのグループ内でシェアは、女子グループは話が活性化しており、自分の意見を発表し、スムーズに決まっていく様子。一方、男子のグループは、自分の書いた内容をシェアする・決めるタイミングでも一番に口を開くことがなく、グループのファシリテーターが促すと小さな声で発表してくれました。このグループに限らずですが、「ひとつに決める」というのは、意外と難しい課題なんだと感じる瞬間が何度かあります。話し合いで決めるときには、人の意見を聞く・自分の考えを持つ・チーム内のメンバーに伝えるなど、さまざまな段階を経る必要があります。その段階を経なくても決めることはできるのですが、「決める方法を決める」ためにも、誰かが意見を発信しないと始まらない。どんな内容でもいいので、いま何を考えているかを口に出すことの大事さを感じました。

③「ツッコミ」に対する答えを考える(45分)〔説明10分+作業時間20分、発表15分〕
引き続き同じチームで作業。さきほどのワークで出てきた「ツッコミ」に対して、その理由となる背景(物語)を考え、簡単なシーンを創作。「必ず全員登場し、一言は必ず発語すること」が必須条件。決めた「ツッコミ」を膨らませてお芝居に。「ツッコミの理由」を考えたあとは、お芝居にしていくにあたって必要な「状況(時間・場所など)」と「登場人物」をグループで考えていきます。
シートがどんどん埋まっていくのは、女子メンバーで構成された2グループ。発言のテンポが軽快で、一人の発信に対し、別の誰かが応答し、会話がうまくラリーになって創作シートに反映されていました。
A(^ ^)<○○はどう?>
B(^ ^)<いいね><それは微妙>
C(^ ^)<じゃあ△△にしよう!>
D__φ(..) 書きこむ

それに対し、男子メンバーのグループの話し合いは少し難航。グループのファシリテーターが投げかけた問いに対し、応答はしてくれるのですが、そのあと展開する発言が出てくることがなく、沈黙気味の時間が何度も流れました。それでも最後には、みんなにとって共通の「ゲーム」を題材にしたシーンが完成。担任の先生やグループファシリに助けられながら作ることができました。発表のときには、声が小さい様子もありましたが、観る生徒(お客さん)は、ジッと神経を研ぎ澄ませ、発表に耳を傾ける様子があり、「他の人の表現を見たい」という前向きな姿勢を感じました。

④リフレクションシート記入(授業後)

+++2日目のプログラム+++
⑤省察
前日の動画を見て、活動を振り返ります。今回の省察テーマは「やるならもっと、楽しくやろう!」です。省察を通して、生徒たちが自発的に話し、楽しく活動できることがねらいです。先生からの「楽しむためにはどうしたらいい?」や「アイデアが出てこない時にはどうする?」といった問いかけから、「別の話をして、空気を和ませる」「とにかく話す」などいろいろな意見が出てきました。

⑥アイスブレイク(なまえ鬼)
とにかく声を出すことをやってみよう!という意図で設定。追いかけられている人が別の子の名前を呼ぶと、呼ばれた子が鬼となるこのゲームでは、名前を呼ばないと鬼になってしまうのです。名前を呼ぶ場合が4割、名前を呼ばずタッチされてしまう場合が6割くらいでした。女子と男子が別れた場所に固まっている状態から、途中鬼が変わることで、混ざり合う様子も。

⑦創作「桃太郎にツッコミを入れる」
2日目はグループ分けを変更し、男女混合の4〜5人で創作。女子がリードして話し合いを引っ張ってくれ、男子勢はそれについていく形をとっていましたが、比較的どのグループも話し合いがスムーズに進みました。話し合いの進度がグループの構成によってこれほどまでに違うのだということを、きっと男子は気づいたはず…(頑張れ男子!)。ワーク自体は1日目と同じでしたが、メンバーが違うことで新しいアイデアが出てきたようで、飽きる様子もなく楽しく創作の話し合いや練習をしている様子が素敵でした。発表では、なぜか「おじいちゃん」「おばあちゃん」の役が上手で、声の震わせ方や歩き方など、細かいところまで工夫して作り込んでいるのがよかったです。
 <発表タイトル>
・川にもの申す。川から桃が流れてきた
・桃にもの申す。桃が勝手に流れてくるのはおかしい
・桃にもの申す。切った時になぜ桃太郎に傷一つついていないのか
・桃太郎にもの申す。なぜそんなに早く成長したのか
・桃太郎にもの申す。成長はやすぎ!

#せんメモ
・1日目の様子から「男女混合」のグループに舵を切ることを先生と話して決めることができてよかった。
・全体の場では発話に積極的にならない子も、少人数で話す時間をとることで話すことができていた。
・理解に時間がかかる集団のときには、何度か同じことを繰り返しやったほうが効果が高いかも。
・質問するのは「動かすため」だけど、質問しても次の展開が本人たちから出てこないときには、どうするか。