鹿野学園6年生②「ヤギ博士のヤギ語講座」(2024年7月)

●活動目標:自分たちが好きな食べ物を体とオノマトペで表現してみよう
●ねらい:特徴発見力・身体で話す力
自分たちに馴染みのある対象をいつもと違った目線で観察し、他者と共有しやすい端的な特徴を見出す。身近な表現手段「言葉」を使わないことでより自由な発想・表現を目指すようになる。
2024年7月1日(月)・2日(火) 9:40〜11:20
進行:齊藤  サポート:後藤、小菅、松下 撮影:奥田、田中

「ことば」はコミュニケーションの道具として便利なものだけれど、ほかにも使える言葉はあります。今回のワークショップでは、「ことば」に頼らないからこそ生まれる表現を感じてもらうのがねらい。
もうひとつのねらいは「特徴発見力」。いつも見慣れているものを、ほかの人にも伝わりやすい端的な特徴を見つける、そんな力を磨くことフォーカスします。
最初の導入で、「今日はセリフを使いません」と聞いた生徒たちは、少し驚く様子。加えて、「今日はゲストが来る」という齊藤さんの言葉に、「もしかして大谷翔平かな…?!」とざわめく生徒さんたち。
早速アイスブレイクに突入。アイスブレイクでは、体を使って表すウォーミングアップのため、ジェスチャーゲームを実施。3グループに分かれ、1人が「動物」「スポーツ」「擬音語・擬態語」などお題が書かれた紙を見てジェスチャーを行い、見ている他の人が当てるというもの。さすが6年生、動物・スポーツは難なくクリア!なので、次はハードルをあげて、2つ繋げたお題にチャレンジ!「暗いサメ」「美味しいバスケ」「ふにゃふにゃ野球」など、合体バージョンのお題で難易度も上がり、盛り上がりました。
そこへ突然、「ヤギ博士」なる白衣の人物がやってきます。ヤギの研究者だというこの人物は、ヤギの言葉の研究をしているようです。ヤギ博士は生徒たちに「言葉の通じないヤギに、人間の食べ物を伝えてもらいたい」というのです。
ということで、今回のお題は「言葉の通じない相手に伝えよう!」です。まずは、鳥劇メンバーが「BLTサンド」サンプルをやってみます。それを見た後、6グループに分かれ、食べ物を表現する「振り・動き」を考えていきます。

グループで一枚引いたカードには、ピザ・おでん・かき氷・たこ焼き・寿司などの食べ物が書かれています。各班から「難しそう!」「これならイメージが湧くかも」などの声が聞こえてきます。
まずは、話し合い。お芝居を作るというゴールに向けて、まずは「材料」「工程」「見た目」「味」を考えます。グループ全員が均等に話すというよりも、アイデア出しや、話を振るなどで1〜2人がリードして話し合いは進行。
全員が参加しはじめたのは、発表に向け、立ち稽古が始まったときでした。静かにしていた子達も動きをやってみる中で「こう動いたほうがいいんじゃない?」と提案する様子もあってGood~~!
そしていざ発表タイム!発表では、料理の材料・工程などのすベてを、振りつけにモリモリと反映してくれました。創作タイムで、動きを確認する時間が取れず、一部少し冗長な発表となりましたが、それも明日への課題、ということで1日目が終了!「動き」よりも、演劇的なストーリーが重視されていたところに、これまでの表現ワークショップの学びが生かされていました。
○1日目を終えて…
そもそも、このプログラムを始めようとしたきっかけは、日常動作を繰り返すとダンスっぽくなる、というコミュニティダンス的な発想からでした。だから今回は、「動き」の面白さにも気づいてもらいたいというのが鳥劇メンバーの一致した意見。
一人ずつが登場人物になり、その役割を全うする子が多かったことについて、これまで演劇に特化した表現ワークショップの成果だといえる一方で、これまで築いてきた「役割を演じきる」「言葉で作る」という営みを相対化してもらえるといいなぁという意見があがりました。

◉2日目

最初の省察タイムでは、初の試み「自分のオリジナル技名を考えよう!」です。自分の得意なことを考える、そして人から見た自分の技名を貰うことで、自分という人間を客観視する時間となりました。
各班での創作タイム。2日目のテーマは、「シンプルに、わかりやすく」です。加えて、鳥劇スタッフがグループに入り、「動き」「振り」の拡大を提案していきます。前日での発表の反省もあったのか、より精度を高めようとガシガシ仕切ってくれる子もいました。自分の班の中では意見を言わない人も、他の班ではアイデアを出す様子も。(自分の班の中では発言しにくいのはなぜなのでしょう?)最後は発表。どのグループも前日よりも整理されていました。ストーリーから少しだけ抜け出して、振りそのものを提示してくれる班もありました。

班ごとの発表内容はこんな感じ!
・焼きそば班:麺が茹でられる動作を強調。全員で手をつなぎ、腕で麺のウェーブを表現。
・ピザ班:チーズをふりかける動作を音と合わせていたのが印象的。
・ラーメン班:麺が茹でられ、麺を湯切りされ、スープに放り込まれる様子を表現。全員横一列。
・餃子班:新人のアルバイトが餃子をつくる。腐ったものを提供し、お客さんが倒れ、クビになる。
・おでん班:材料を収穫する、じっくりと煮込む工程。材料に味が染み込むのをよく表現できていた。
・ハンバーグ班:班のメンバー全員で、料理の工程を繰り返しの動きを使って表現していました。
動きや振りの楽しさが、少しでも伝わっていたらいいなぁ。
《鳥劇メモ》
・発表を見ている側から「ハンバーグには見えない」という意見が出ていたから、丁寧に解説してもいいかもしれない。ただ、ストーリーとして解釈できな
い、身体系ダンスの見方があることを知ってもいいかも。
・得意技を他の人からつけてもらうとき、嬉しそうにしていた子がいたのが印象的。自分では名付けられない人も、相手からプレゼントしてもらうことで自信がついた子もいたのではないか。