鹿野学園5年生➁「絵の中の〇〇さんになってみる」(2023年7月)
活動目標:絵から感じてみる。想像してみる。調べてみる。
ねらい:感受性の開放に力点を置く。文字化された情報から入るのではなく、10枚の絵から感じられるインパクトをまずは感じてもらい、そこから細部を自由に想像する。
日時:2023年7月10(月)11(火)3・4校時(10:35〜12:10) 会場:流沙川学舎ランチルーム
進行:中島 サポート:れなさん・たろさん 撮影:太田
◎1日目
1.流沙川校舎のランチルーム。カラフルな布をかぶった10個のイーゼルにかこまれた空間。いつもと違う空間に慣れるため、声を出さずに歩いたり止まったり、ストレッチしたり、ぐるっと見回してみたり、、。
2.布を取ると、世界各国の子どもたちが描かれた10枚の絵。まずは無言で鑑賞。
3.何か感じた絵、気になった絵に集まってもらい、近くの大人にどういう点が気になったか伝える。そして、大人がまとめて発表。
4.8班にわかれる。どの班が、10カ国のどの子にするかはくじ引きで決定。絵の中の〇〇さんの「国」について調べる。タブレットや本や地球儀などを使って。
5.気づいたこと、調べてわかったこと、想像したことを、フセンに書いて絵に貼っていく。なるべくたくさん。
6.〇〇さんがどんな生活をしているか想像して、シーンを作ってみる。
例:鳥劇の中川&高橋で「日本のはなこさん」の生活。
班ごとに、話し合ったり演じたり。この日は、写真でポーズ撮影。メキシコ班は、場面として演じて発表してくれた。
7.リフレクションシート記入
《たろさんメモ》
・シエラレオナの銃を持った少年に集まる子が多かった。
「なぜ9歳の子供が銃を持っているんだろう」「なぜハダシなんだろう」「なぜこわい顔をしてるんだろう」
・メキシコの女の子にも興味をもったよう。彼女の身体にくっついてる「ヒョウタン型のものは何?」「何か編んでるの?」
・各班に分かれての調べ方、とてもまじめに取り組んでくれていた。(5年生ぐらいだと、地球儀をまわして遊んだり、タブレットで違うことしたりしそうなものだが。そんなこともなく、とても優秀!)
・ネパールの班が、ネパール語を調べてるのが興味深かった。「おじいさん」「おばあさん」「水」「暑い」などストーリーに必要であろう言葉がフセンに書かれていた。
・カンボジアの班は、地雷の被害について調べていた。6万人という数字には驚いた。絵の少年と同じように地雷で片足になった人物をタブレットで発見し、そのストーリーを再現してもいいか?と質問してくれたので、「いいのでは」と答えた。
・とにかく、子供たちの情報収集力には驚くばかり、おじさんの時代は辞書しかなかったからね。
・明日は、集めてもらった情報を整理してもらい、場所や登場人物を細かく設定し、お芝居にしてもらおう。
◎2日目
1.アイスブレイク「サークル、ライン、ロック」
れなさん「レベルが高いあなたたちならできるかもしれないので、本格的な演劇トレーニングやってみよう!」
・「円になる」「線になる」「かたまりになる」
・やるチーム、見るチーム交互に。初めはおもしろい動作に脱線していく子も、少しずつ集中していった。
・だんだん人数を増やし、最後は合図がなくても何かになっていられるか!?
…結果は「大きな1個のサークル」完成。感覚をとぎすます体験。
2.ふりかえり動画
3.先生による感想と今日のめあての提示。
「よく感じ、よく調べていた。〈何のために情報を得るのか〉考えて、劇にひろげていくことを目標にがんばりましょう」
4.各班の絵に貼られたフセンを読んで回ろう。
先生「他の班が情報をいかに上手に引き出しているか、自分の班の参考にできるよう読んでいきましょう」
5.実は〇〇さんはこんな事を言ってました。
それまで紙で隠してあった絵の〈〇〇さんの言葉〉を鳥劇の人たちが読みあげる。
各国のひどい状況に「えぇ」「どうゆうこと?」と時折ざわめきながら、見ていった。
6.あらためて、〇〇さんの生活をお芝居にしてみよう。
自分たちの集めた情報を取捨選択し、自分たちの想像を加え、登場人物や状況を考え、お芝居をつくってみよう。
7.発表(場所はその場で)
インド:友達と楽しそうに遊ぶ主人公。親方のビンタで〈夢〉から目がさめる。
「すみません、仕事します。」
インドネシア:ゴミをポイ捨てする大人に怒る主人公。
「この国ではポイ捨てがあたりまえなんだよ」「学校だって行きたいのに。バドミントンだってしたいのに」
シエラレオナ:誘拐される主人公たち。銃をもたされ、少年兵の教育を受ける。
怪しい注射をされ、最初に狙撃したのは自分たちの知人だった。「バン!バン!」
チャド:サッカー選手に憧れを持つ主人公に「ムリだよ」と心ないことをいう選手たち。
「夢をあきらめなで」と励ます少女。
メキシコ:朝早くからタバコの葉を束ねる仕事をする主人公一家。大量の仕事を任される主人公。
「なぜ、わたしだけ?」「あなたはお姉ちゃんだから」
カンボジア:魚釣りにいく兄弟。弟、地雷を踏み片足なくなる。
「戦争で使われた地雷で6万人の人がなくなってます。」
レソト:最終手段として飼ってる羊を食べる、母と子。
「レソトでは家族同然の羊を貧しさのため殺して食べることもあります」
ネパール:おじいさん「のどがかわいたねえ」おばあさん「そうですねえ」
娘「ホンジムバ(おじいさん)バアニ(水)バアニ(水)。
楽に水が飲みたいな。モタケコショウ(つかれたなあ〜)」
《鳥劇メモ》
・世界にはいろんな子たちがいることを、単なる情報処理でなく、生活として想像してくれてよかった。そこに生きていることを「知る」という点で成功したのでは。先生による「たくさんある情報をどう活用するか」という投げかけも効いていて、ここ数年の内容から、一歩発展できたのがよかった。(中島)
・「笑いをとる!」が得意な子は消化不良な面もあったかもしれないが、「真面目に取り組みたい」子が思い切りやれる雰囲気になっていた。
・前回も今回も、グループ分けがランダムでも、活発に関わり合えているのがすごい。