鹿野学園5年生➁「絵の中の〇〇さん」(2024年7月)

●活動目標:絵から感じてみる。想像してみる。調べてみる。
●学習目標:身体感覚とイメージの呼応の発展・イメージを広げる・イメージを言葉にする&発語する・身体表現「演じてみる」(状況を想像しながら、登場人物になる)
●ねらい:感受性の開放に力点を置く。文字化された情報から入るのではなく、10枚の絵から感じられるインパクトをまずは感じてもらい、そこから細部を自由に想像する。  
日時:2024年7月8日(月)9(火)3・4校時(10:35〜12:10) 
会場:流沙川学舎ランチルーム
進行:中島 サポート:中川・松下  撮影:田中

◎ 1日目
① からだをほぐすストレッチ
空間に慣れるワーク。声を出さずに、歩いたり、止まったり。続いて、ペアで手を繋ぎ、空間の中を歩きます。「連れていく人」と「連れられる人」に分かれ、空間を散歩したり。今日は友達と遊んだり、ふざけたりしたいという気持ちを横に置いてやってみました。
② 絵を見て感じる(それぞれ)
世界各国の子どもたちが描かれた10枚の絵を見ていきます。そのあと、近くの大人がいる3箇所に分かれて、感じたことや気になったことを伝え合います。「何をつくっているんだろう」「これは寂しそうな感じがするね」「どこにいくのかな」など、絵をよく観察して、問いや気づいたことを言葉にすることができていました。
③ どの子にするか選んで、調べてみる(グループ)
10枚の絵のうち、演じてみたい1枚を選びます。そのあと国名と、その子の名前をオープン。実在する人物で、自分たちと同じ「10歳」であることに少し衝撃を受けた様子でした。
選んだ国について調べていきます、タブレットや書籍、地球儀などさまざまなツールを使って、国の情報を集めていきます。国の面積、人口、暮らし、言葉など…さまざまな情報を知ることができました。
④ 加えてみる(グループ)
「演じる」に向けて、調べた情報を付箋に書いて、可視化していきます。情報を書き出すだけではなく、想像力も使って。「聞こえてきそうな音」「言っていそうな言葉」「近くにいそうな人や生き物」など、その子の状況も、想像して付け加えていきます。
⑤ リフレクションシートの記入

○先生より
今日は、表現の手前の「見ながら感じとる」「調べて知る」ことを丁寧に行うことができました。絵を鑑賞するときにも、子どもたちは、よく見て、発見したことを言葉にすることができていたように思います。「目」「表情」について子どもたちは印象に残っていましたね。言葉や文化を超えて、共通のコミュニケーションがあったことに気づいてくれたと思います。明日子どもたちには、知ったことを表現に繋げていくことを意識してほしいです。
●鳥劇メモ
・「鑑賞する」「話す」「調べる」活動を丁寧に行った分、「やってみる」時間が短かったけれども、よく集中して取り組んでくれた。
・終盤ごろ、みんなで絵の中の子どものポーズをとってみたときに、子どもたちの目の奥に感情が宿っていたのが印象的。

◎ 2日目

① 省察タイム 
省察タイムでは、昨日の活動の写真を見て、まずはおさらい。その後、子どもたちに問いかけながら、「絵だけでわかること」「絵からだけではわからないこと」がありそう、と実際のイラストを見ながら整理してくださりました。先生が子どもたちに向けて、強調されていたのは「調べてわかったことを、表現に結びつけて、こだわって」ということ。先生から「どんなところにこだわれそう?」と聞かれ、子どもたちは「重いものを持っているから、動きはゆっくり」「小さい動きから大きな動きにしたい」と、演じてみる時の自分なりのこだわりを発表してくれました。先生の力強い問いかけがきっかけとなり、子ど
もたちの発言にもいっそう芯が通ってきたように思います。
② 10枚の子どもの絵の「言葉」を読んでみる
画用紙で隠されていた言葉をオープンしてみると、そこに書かれていたのは、その子の生活を取り巻くモノローグ。そのひとり一人の言葉を、みんなで声に出して読んでみます。最初は、意気揚々としていましたが、徐々に、貧困や戦争などの背景に気づき、眉の間をしかめ、とても真剣な面持ちの子どもたち。
③ 創作 その子の生活を演じてみる(グループ)
収集・想像した情報をもとに、「伝えたいこと」「人物」「場所・流れ・セリフ」を考えていきます。話しあいながら、省察のときに出てきた「こだわり」も入れ込みつつ、流れを作っていきます。
④ 発表
●ロシア班…子どもが道ゆく人にお金をねだり、得られたお金でボンドを買う。
●インドネシア班…貧しい中、ゴミを拾いお金にする男の子。拾っている途中に怪我をしてしまう。ただ、稼いだお金で薬が買えそうだ。
●シオラレオネ班…ご飯を食べているところ誘拐され、銃の訓練をさせられる。怖い気持ちがあったが、注射されて興奮状態になり、銃を実際に撃つ。
●ネパール班…山の上にある自宅に歩いて水を運ぶ女の子。いろいろな動物が出てくる。
●カンボジア班…兄弟でゾウと遊んでいると、兄が地雷を踏み、倒れる。弟の「大丈夫?」という言葉が繰り返される。
見終わった後には、お互いの発表を見て感じたことを発表。「その絵の中の世界観を感じた」「1人で何役もしているところがすごかった」「弟がずっと心配しているのがよく伝わった」などと伝えてくれました。
「自分と同じ歳の子が実際に経験している」というインパクトから始まり、調べながら、イメージをひろげる2日間となりました。
■鳥劇メモ
・絵の中の状況を感じて受け止めながら演じてくれていた。
・グループの人数が3人がベスト。全員が話さなければ、前に進まないという緩い強制力として働いていた。
・「遠い国で起こる、自分とは関係ないこと」から、その状況を表現することを通して、頭を通して理解するのとは違う、「自分と地続きなこと」というところに行きついた子もいるんじゃないかな。