鹿野学園5年生③「自分が監督、自分が主役。からだで再現★思い出の一コマ!」(2024年12月)

●活動目標:自分の記憶を他者に伝え、その場面をつくる。聞き手は、相手の記憶、言葉、主題に寄り添い、それが見る人に伝わるよう努力する。「伝える」「聞く」「協働する」を統合的に行う。
●学習目標:個々のミクロの驚きや気づき、喜びを見出し、それをみんなで共有することを通じて、自他のちがいを知り、それを肯定的に捉える。
日時:2024年12月2日(月)3(火)3・4校時(10:35〜12:10) 
進行:中島 サポート:ヨリ 撮影:レナ

◆1日目
0.思い出アンケート:事前に各人2つずつ
1.言語系アイスブレイク:「しかし」ラリー。慣れてきたら最後は「しかし」リレー。
すぐ出る子、となりの子に相談する子、1分くらい熟考する子、それぞれに全員言葉をひねりだせていた。まわりの合言葉「なるほど〜」入れつつ難しさを楽しむ雰囲気。たまに、本当に感心するようなナイス言葉も。
2.身体系アイスブレイク:「さっちゃーゲーム」グーとパー、こたつとみかん、サンタとどろぼうetc

3.課題提示とやり方説明
思い出アンケートからどうやって劇にしていくか?
実際に書かれた思い出アンケートを使って、プロセスとコツを説明。
H先生の「コロッケこげた」/Sさんの「ドッジボール」。
中島さんからお約束。
 ①STEP1:「心」が大切。どう感じたか「伝える」「聞く」、グループ内で深めよう。※他の班と話さない。
 ②STEP2:「つくる」「伝える」

4.思い出インタビュー:3〜4人組グループ。監督役と聞き手役はいっせいタイムキープで交代していく。
5.打ち合わせと練習:鳥劇が適宜助言。
自分たちで配役を決めて練習していた。だいたいできていたところには、見やすくするためのアドバイス。
6.中間発表:各班一つずつステージ発表
終わり方がまだ決まってないというグループも、その場の合図でGO。
4班それぞれ、しめの一言も秀逸だった:「Wビックリ」「指はエサじゃねぇよ」「思ったより回る!」「最悪〜」

◆2日目
7.H先生による省察活動
前日欠席だった子もまきこんで、昨日の動画を見ながら、どんな場面かあてたり、おもしろがったり。「自分のははずかしいけど、他の人のは見たい〜!」という声も聞こえつつ、にぎやかに。
先生から、昨日の続きやるけど同じような作品になるかな?・・・「全部同じだと、おもしろくない」という意見。
監督と役者で、立場がかわる。いっしょの部分、ちがう部分、ある?・・・グループ話し合い。
いっしょだという子、なんかちがう感じがする、という子、半々くらい。
「監督の気持ちがあって、それにみんなの意見や工夫を加えていく!」とみんなで共有して、活動開始!

8.からだジャンケン。みんなで一つの○○。
2つに分かれて、お題を出し合う。アップの間に、前日欠席だった子と中島さんでやり方確認。できたら、最後全員で「いちごが鼻につまったゾウ」!!

9.打ち合わせと練習
10.ステージ発表
見る時は、いいところを見つけ、学級のハートカードに記入していく。
グループごとに全員分つなげて発表!ちゃんとさまざまユニークでした。
●1班:そろばん合格発表時を、本人役と、心の声役で、2人一役!/ピアノ演奏からの合格やった!/教材が6年にあがると聞いて内面の声「う〜わまじかよ」
●2班:「むかついたけどめっちゃ爽快感あるわ」/「うわ」「うわ!なんでおれの方がびっくりするだ!」/不合格で何点かきいて「え、一問!?くそ最悪」
●3班:がらがらがらと流れる様子/工場と夕日がきれい、そこに友達も来る/UNOで勝ったかと思ったら負けた!
●4班:かわいがってるペットが当たって・・「あ〜努力の結晶が」/「新しい発見で賞」/クレーンゲームとられたあと、別の人がとってくれて、見返す「ふん!」
●5班:沈む夕日を眺めて「綺麗だな〜」/こわかったスカイサイクル/もうすぐ集合時間「これゴールドじゃない?」「え、今!?」

11.まとめ:中島さんとのWS最終回。ヨリさんから王舎もよろしくの言葉。

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★先生より。
1日目もよくやっていたが、「その監督の気持ち」にもっと焦点をあててもらうには、と省察活動を組み立てることにした。
(監督役の子の気持ちでなく、役者役の子が「こうやりたい!」が全面に出ていたりしていたので。)
「監督」という立ち回りをうまく機能させている子もいて、成長を感じた。
2日目。どの班も自分たちで進められていてよかった。ちゃんとそれぞれの作品になっていて、らしさが伝わってきて感動。

★ヨリさんより。
それぞれの発想がユニークで面白い!そして、その発想を自信を持って表現すること、できることも素晴らしい。最初、一部の男子が体をくっつけ合ったりしているのを見て、少し幼いのかなという印象を持ちましたが、グループワークを進める中で「他者(監督)の思いを尊重する」という大人な一面もあることを感じ取りました。その力をいかんなく発揮し、全ての班が見事に作品完成!来年度、一緒に活動するのが楽しみです。

★中島さんより。
 五年生のしめとして、最近(五年生になってから)自分の心に残ったことを、思い出し、自分が主役となってその場面を再現してみることを活動としました。発表は一分足らずの短いものですが、自分の心が動いたことについて、それを客観化し、グループ内の人に伝え、重要なポイントを焦点化し、観る人に伝わるようにするというのは、実はかなり複雑な作業です。どこまでできるだろうかという不安もありましたが、先生も巻き込んでの例示を丁寧にしたこともあり、初日の創作体験もうまく機能し、学級の児童数が少ないので各班の進捗に合わせた助言も入れやすかったので、二日目、短い時間の中で全員分の発表をしっかり行うことができました。
 五年間の表現ワークショップの積み上げの成果として、子どもたちの「それぞれ」の姿が、「それぞれ」のグループの関係の中で無理ない形で発揮され、表鷲科の前期を上手くしめくくれたと思います。
 発表がうまくできることは大切なことですが、それ自体がこの表現ワークショップの目標ではないと思っています。他者との関わりを通じて、自分を少しずつ知り、潜在的に伸びたい方向に自己を切り開いていくための糧とすることに価値があるのだと考えています。その向き合いの時間の提供はできたのではないかと思います。
 例年通り、六年生以降の表鷲科を主指導者として担当する齊藤頼陽が、ファシリテータとして加わり、子どもたちの様子を知る時間ともできました。
 私が内心伝えたいと思っていた、「心」は人それぞれであるということも、子どもたちに届いたように感じました。(中島諒人)

■鳥劇メモ
・この時期はインフルエンザなど欠席も多い。最終回に会えない子がいるのが残念。
・省察用にタブレットごとデータを渡したので、2日目授業の際、先生のリズムで使ってもらえた。
・ワークシートの配り方、項目だて。毎年細かく変更。
・発表時、前説をやる班も!自分の言葉で堂々と説明、すごいなぁ。