鹿野学園5年生①「のっかってみよう!」(2020年6月)

「のっかってみよう!」
★活動目標:アイデアをためらわずに出そう、それにのっかろう。
★学習目標:グループワークの進め方、そのコツを知ろう。出す/聞く/乗る/発展させる

進行:なかしま
GF:ホーリー、ゆかぽん、タロ、じゅんじゅん 記録:中川、三輪と筧(初日のみ)、赤羽(2日目のみ)

■1日目———【WS】6/11(木)3・4校時10:35~11:20・11:25~12:10@体育館
1.導入
 「First Follower」のビデオ映像を見て推理(15分)

2.アイスブレイク(30分)
 つながるゲーム「集まってポン!」→4グループで「拍手回し」

(休憩10分)

3.のっかるゲーム「遠足のおやつ何がいい?」(25分)
 ビデオ映像の再現をアレンジしてやってみる。のっかり方を共有してから、9グループに分かれる。
 2つのグループの発表を見てみる。

5.のっかるゲーム「遠足の乗り物何がいい?」(10分)

6.リフレクションシートを書く。(10分)

■2日目———6/12(金)3・4校時10:35~11:20・11:25~12:10@体育館
7.F先生による省察(45分)
 先生より「のっかりがすごかったところを研究しよう」という課題の提示。
 鳥劇編集のダイジェスト映像と、各グループのよかったところを鳥劇レポート。
 どんなふうにすごいか、だれがのっかってくるか、なぜのっかれるのか、などを子どもたちが発言。
 
8.省察を生かして、もっとやってみる活動(45分)
 4年生時に体験した「暑い暑い~」などの穴あき台本。
 説明と鳥劇によるメイキング例(10分)
 9グループそれぞれで話し合い&練習。鳥劇に1度は相談してみる。(15分)
 発表。(20分)

■■■■■■

5年生という学年は、鹿野学園においては小学部の最高学年。前年の経験の蓄積を踏まえつつ(昨年の四年生時に重点学年として6ユニット、時数で24校時の表現ワークショップを体験)、それをどのように定着・発展させて中学部につないでいけるかが年間を通じての課題である。今回は、本年度4ユニット実施予定の第一回目。
担任の先生より、児童間の役割の固定化という課題が挙げられ、その課題を踏まえてグループワークが発展するための上手なやり方・コツを、表現ワークを通じて考えること、それを通じて新しい自己像・他者像の発見を目指した。

具体的には、野外音楽イベントで踊りの輪が広がっていくプロセスを追った有名なビデオ映像を題材に、「始める人」も大切だが、「乗っかる人」も大切だということを、子どもたちにわかりやすく解説。このワークショップ授業では、他者の提案に対して基本的に必ず「いいねえ」という肯定で応答することを確認、共有した。
アイスブレーク 後の実践では、ごく簡単な物語の枠組みを生かしながら、グループワークごとにそこに細部を加え、一つの架空の場面を作ることを目標にした(児童一人ひとりの関わりの度合いを高くするために、一つのグループは三−四人の小編成とした)。

■実践1 「遠足のおやつ何がいい?」
みなが輪になり、横の人に上の問いかけをし、聞かれた人が応える、そしてみなが「いいねえ」と応じて、そのおやつをみなが食べる。「ああおいしかった」で終わり、次の人に最初の問を回す。
極めてシンプルな活動であるが、おやつの具体(あめ、グミ、うまい棒など)により食べ方に細部が加わって、楽しく親和的な時間となった。グループの構成員数を小さくしたことも機能していた。(若干活性化していないグループもあり、翌日への課題として対応を考えることとした。)
■実践2 「遠足の乗り物何がいい?」
実践1の発展形として、より全身を動かすものとして位置付けていた。残り時間の関係で、ごく短い展開を全員でやり、初日の活動の締めとした。
■実践3 短い物語の枠組み与え、細部をグループごとに決め、その場面を作る。
省察の時間で、グループワークを進める「コツ」の確認が行われ、それに基づき、鳥の劇場俳優が具体的な進め方を示し、各班が製作を進め発表した。グループ数が多いことで発表に時間がかかるため、展開を考え練習する時間が短くなった。結果だけ見ると、十分な関わりが生まれていないように見えるグループもあったが、担任の先生が、子どもたちそれぞれの普段の生活の様子と見比べる中で、内的な葛藤や成長として認識しておられた。

全体として
表現ワークショップの重点学年として4年生時に多くの表現体験を経ているものの、思春期前期に入り男女間のグループ分化が進んだところもあり、自意識・自己の殻が少しずつ生まれてきている段階でもあるので、グループ表現が一見硬い部分もあった。しかしグループワークの意味、実際の楽しさ、活性化のための具体的方法の意識化等を通じて、自分の中・他者の中に、それまで認識していなかった新しい何かを発見する機会が生まれた(役割の固定の活性化)のではないかと思う。
また、担任の先生と課題を共有して進めることで、単純にあらわれだけを見るのではなく、子どもたち一人ひとりの内的な努力にも目を向けることができた。これは他の学年でも感じることであり、鹿野学園での学校を挙げての継続的な取り組みの大きな成果である。
(なかしま)

先生から「今回は【つながる力】に着目、自分たちで話し合いをよくやっていた。あの短時間でよくつくった。やりきれなかったところに対し、周りの否定がなかったのがよかった。次に生かされることを期待して、次回は【表現する力】をテーマに、『とりあえずやってみる』ことに重点をおきたい」とのこと。彼らが次の一歩を踏み出したくなるような計画を考えていきたい。
(タロ)