鹿野学園4年生②「詩の中の〇〇になってみる 2」(2021年7月)

活動目標 まどみちおの詩を「台本」として場面を作ってみる その2
ねらい ・場面作りを楽しくやる(筋をふくらませる にぎやか コミュニケーション)
    ・詩の中のイメージを深掘りする(感覚を深める 静か)
   ↑これらの両立を探したい


2021年7月13日(火)、14日(水) 10:35〜12:10
進行:鳥の劇場(なかしま、れなぞう、おくさん、ホーリー、ゆかぽん、もっちー、ふじさん)

—1日目—
1.前回を思い出す。映像を見る。詩も。   〈みんなで〉     20min
2.鳥劇版「きくのはな」の、〈標準パターン〉〈宇宙怪物パターン〉を、もう一度見てみる。
やりたい子を募って、一緒にやる。起承転結の説明。   〈みんなで〉   15min
3.二人組になり、リンゴになる人と動かす人になる。人の体へのタッチの仕方の説明。   10min
  ***休憩*** 
4.本活動(創作と撮影)   〈グループ〉   30min
 以上を踏まえて、各班で本活動。
 起承転結、クライマックスを考え(紙に一度整理して)、創作と撮影。
5.リフレクションシート記入       15min

—2日目—
1.振り返り   〈みんなで〉   25min 
前日の活動の振り返り動画をみんなで見る。
各班ごとに、担当していた鳥劇の大人がどんな様子だったか話し、成果物の映像を見る。
2.省察   〈みんなで〉   10min
昨日書いてもらったRSをもとに、先生からのお話。
子供達にも発言してもらう。
起承転結の話を再び。4コマ漫画にしてみるとどうなるか、説明。
3.自分たちの映像作品を見ながら、起承転結の4コマ漫画作成。    〈グループ〉 20min
4.進行の中島より、起承転結の説明   〈みんなで〉   5min
***休憩***
5.新しい詩をもとに、作品づくり(創作と撮影)   〈グループ〉 25min
6.終わりのお話   〈みんなで〉   5min

6月にやった「詩の中の〇〇になってみる」第二弾。前回作った、みんなの映像作品を見て、思い出す。中島さんより、各班のいいところ、工夫しているところなど話す。
今日の創作に向けて、鳥劇版「きくのはな」2パターンを、みんなに見てもらう。それぞれのパターンで、起承転結を書き出したものを見てもらいながら、説明。一緒にやりたい子を募ると、女子2名、男子1名がさっと手をあげてくれました!
女子2名は〈標準パターン〉で、それぞれおじいさん、菊の花を熱演。おじいさんの腰の曲がり方、ほぼ直角に近い!そして、ボソボソとおばあさんに話しかけるという、本人が考えた設定も面白い。菊の花をやってくれた子は、葉っぱを取ってもらって元気になる菊の花の演技を、バッチリとやってくれました。
〈宇宙怪物パターン〉で、兄弟のお兄ちゃん役をやってくれた男子。眠りガスで眠ってしまい倒れるところや、宇宙人に連れ去られるところの演技を堂々と、的確にやってくれました。

その後二人組になり、人の体の動かし方を説明。一人がリンゴになり、もう一人がリンゴを動かす人間になる。基本的に体にはあまり触らずに、行く方向を相手に示しながら動いてもらう。初めての動きにみんな試行錯誤しながら、いろいろとやってくれました。暴れリンゴや、ゴロゴロ転がっていくリンゴ、相手の手の動きだけでふわりと、後ろに飛ばされていくリンゴ。人間がリンゴを切ったら、リンゴが人間を切り返してきた!というリンゴの逆襲劇もありました。

そんなこんなを経て、いよいよ本活動。前回の詩プラス新しい詩を二編加えたものの中から一つを選び、創作する。
各班それぞれに、登場人物を決めたり、お話の流れを作ったり、撮影場所やカメラワークを考えたり、オリジナルのエピソードを付け加えたりと、話し合う。時にはなかなか進まないときもあり、他の人に譲ってくれる場面があったりと、またまたみんな、頑張った!全部の班が、撮影まで出来ました。

二日目。昨日のふりかえり動画を見る。
その後、各班ごとの様子を鳥劇の大人が伝えながら、昨日の映像作品を見る。
チャレンジした、話し合いをしっかりした、相手に譲るところがあった、暑い中他の人のことをずっと待っていてくれた人がいた、アドリブが出来た、こだわりがあった、集中力があった、アイデアがどんどん出てきて、それに、いいね!と乗っかることができた、など各班のいいところがたくさん出てきました。

昨日のRSのいくつかをみんなで見ながら、先生と子どもたちのやりとり。
・上手な班がいて、負けたくないと思った。(RSの感想)→他の班のいいところは真似をしたらいいし、負けたくないという気持ちもチャレンジ精神につながる。
・NさんとHくんが仕切ってくれて、上手にできた。NOさんも恥ずかしそうだったけどちゃんとできていた。→自分の班の人のこと、よく見れている。
・友達と撮影できたので嬉しい、楽しかった。→最初なかなか決まらなかったが、最後の2分で集中して撮影まで出来た。

先生より、「やりたい、やりたいだけでは作品は出来ないですよね。話し合いの中で人に譲ったり、それいいねという声かけがあったから出来たのだと思います。」

その後は桃太郎のお話を4コマ漫画にしたもので“起承転結”を先生が説明。
そして、昨日やった自分たちのお芝居を4コマ漫画にしてみよう!というミッションが先生より言い渡される。
…各班に分かれて、頭をひねるみんな。
私が付いていた班はかなり苦戦していましたが、Nさんが「起転承転結、じゃない?」と言い出して、なるほどそうか、と“転”のコマを二つに割ったところで時間切れとなりました。絵を描くまでには至らなかったですが、みんなよく考えていたと思います。他の班も、絵をかけたり、かけなかったり、言葉で書いたり、頑張った航跡が見られました。

その後、中島さんより起承転結についてのお話。
「詩のはじめと最後でちょっと変わっているんだよ。幸せが増えている。起、承はだいたい同じ感じで進んでいく。転で大きい、全く別の何かが起こって、結果、結で最初あった幸せが大きくなる。
『いねかり』の詩だと、起→お母さん、お父さんと子供がいねかりをしている。承→段々日が暮れてくる。転→ぴょんとイナゴが跳ねたり、電車がガタンゴトンと通り過ぎる。結→もう一日も終わりだな、仕事が終わってみんなで家に帰ってご飯を食べたり、お風呂に入ったり、一緒にテレビを見たりすると幸せだな、というような感じで(詩の)最初と終わりを比べた時に、終わりの所で夕方のみんなの幸せが増えている。イナゴが跳ねたり、電車が通り過ぎることは特別なことではないけれど、そういうことがなんか幸せにつながっているというのが、まどみちおさんの詩の素晴らしいところ。みんなにも、なんとなくわかってもらえたらいいと思います。」
するとある男子、「なんとなくわかった。」さすが4年生だなぁ。
さて、時間も押し迫る中、今日も創作&撮影。
みんな、新しい詩がいいということで、「ヘビ」「アリくん」「にゅうどうぐも」の中から選んで、また一からの話し合い。
今日も時間がない中、みんな撮影までできてしまった!すごい。
私が付いていた班は、「アリくん」を選び、人間がアリを踏もうとしたら、なんとアリに逆襲されて、アリの巣まで運び込まれてしまうというお話をオリジナルで作り上げました!
みんなの集中力、想像力、素晴らしかったです。
(ふじさん)

前回に比べて、自分のアイディアを表現することに慣れてきた印象。自分の意思がはっきり言える子、友達の意見に同意し膨らますことができる子、ゆずれる子、余ったところで楽しさを見つけられる子、4人それぞれが自分の強みを生かしてグループに関わっていた。創作の時間では、たっぷり時間を使って詩と向き合いみんなで考えて話し合っていたので、色んなバリエーションの詩が撮れた。次の日の省察後の活動では、1人の生徒が機嫌を損ねてしまいしばらく3人で活動していたが、終盤、撮影役として自分の役目を見つけ、結果的に4人で活動を終えられた◎ 短い詩から沢山の情報を吸収し消化して出てきた彼らの発想は、自由で豊かで素敵だった。
(もっちー)

1班
整列するのがどこよりも早くて、話し合いのできる班、というのが前回のWSの印象の1班。今回はまた違ったベクトルで成長の様子をみせてくれました。

1日目、自分たちで数ある中から詩をひとつ選び、班のみんなで演じてみる、というワーク。ここでY君以外のみんなの意見がなんと合致。Y君だけが違う詩をやりたい、という状況でY君は「みんなが決めたやつでいいよ」と譲ってくれました。また話し合いの中では、「お餅ってブリッジしたら面白そうじゃない?」というAさんの提案にU君がすかさずのっかり、ブリッジ。他のみんなもどんどんブリッジに挑戦していました。アイディアにのっかってみる、チャレンジしてみる、素晴らしかったです。そしてNさんが出した意見に「それいいね!やってみよう!」と立ち上がって反応したMさん。これが後押しとなって、1班は撮影場所の階段へと移動したのでした。
階段では段差とカメラの位置を利用した「おもち」のお芝居ができました。時間もちょうどぴったり。整列もやっぱり早かった…!

2日目、昨日の自分たちの活動を振り返り、そして起承転結の4コマ漫画にお芝居をあてはめてみようというワーク。Aさんがリーダーシップを発揮し、それぞれの担当の部分の絵を描いていきました。そしていよいよ最後のワーク、新しい「雲」の詩にチャレンジすることに決めた1班でしたが、「雲だから外で撮りたい」という人と「暑いから嫌だ」という人で分かれてしまい、少々険悪なムードに。ここで盛り上げ役のU君が、「外が嫌な人もいるから中がいいんじゃない?」とみんなに提案。その空気を感じた他のみんなもそうだねと階段へ移動。その後もなんとか前に進めようとするものの、乗り気で無くなってしまったY君が「何もやりたくない」とストップ…。しかしここで周りのみんなは無理やりやらせたりせずに、「じゃあどうしようか」「この役ならどう?」とY君を気遣う姿がたくさんみられました。短い時間の中でなんとか完成させた1班。きっと満足のいく出来ではなかったことが終わったみんなの様子から伝わってきました。でも、周りの人の気持ちを気遣いながら、難しい状況でもなんとか前へ進もうとする力が素晴らしかったです。
最後に班で並んでいる時に、U君がY君へ撮った動画を「ほらここ!」と笑顔で見せていた姿が忘れられません。
(ゆかぽん)

今回生徒たちの演技を見ていてとても良いなぁと思ったのは、皆全身を使って表現していたことです。
題材にしたまどみちおさんの詩には、「星」「イナゴ」「電車」など人間以外の生物・無機物も多く登場しますから、いつも通り二本足で立って、両腕をぶらさげて……というままでは表現できないことも多いのですが、それをためらうことなくやりきり、さらに例えば流れ星を演じる時は側転をし続けたりといった、自分たちならではのアイデアを加えていた姿が印象的でした。
そして何より驚かされたのが生徒たちの撮影へのこだわりです!
画角やタイミングへのこだわりが細かく、自分たちの芝居を一つの「作品」にしようという意識が強く感じられました。
撮影したものをチェックして、演技を細かく調整する。
また階段や中庭というロケ地(!)をいかして、アイデアを膨らませていく。
そんな姿を見ることが出来ました。
もちろん4人、5人で一つの詩を選び、どういう人や物が出てくるか決め、どういう場面展開にするか決め……といくつもの選択を積み重ねていくわけですから、意見が合致せず、ぶつかってしまう場面もありました。
しかしそうなってしまった時の意見のすり合わせ方、ある時は譲り、ある時は話し合い、ある時はいっそのことじゃんけんで決め、というその方法の選択と、もし自分の思い通りのやり方が選ばれなかった時の気持ちの収め方が、6月のトリジュクの時と比べ、格段に滑らかになっているように見えました。
だからこそ短い限られた時間でも、どの班もこだわりを持った「作品」を作ることが出来たんじゃないかと思います。
(ホーリー)