鹿野学園4年生①「詩の中の〇〇になってみる」(2021年6月)

活動目標 言葉、身体、イメージの繋がりを意識してみる
ねらい 自意識が芽生える年頃。3年までの自由な発散的段階を思い出させながら自分の中の感覚に耳をすまし、その中でどのような他者とのかかわりが可能なのかを実践していく。
一回目では自身の意識に重点をおき、二回目では外部からの見え方にも広げられたらよい。

日時:2021年6月21日(月)・22日(火) 3・4校時10:35〜12:10
進行:鳥の劇場(中島、れなぞう、よまる、ふじさん、ホーリー、ゆかぽん、もっちー)

1.アイスブレイク「だるまさんが…」     〈みんなで〉     15min
  人 動物 モノ に「なってみる」ことの準備段階として。
2.詩の中の要素をピックアップする。やり方の確認。     〈みんなで〉     30min
  ①詩を見てみる。
  ②登場人物を思いつく。場所をイメージする。
  ③登場人物をどれか選び、役の名前を書いて胸に貼る。その役になってみる。
  ④場面1(組み合わせて演じると、場面になる)
  ⑤場面2を、鳥劇とやってみる。
3.詩を使って表現  自分たちでやってみる。     〈グループ〉     20min
  やり方に慣れたら、まどみちおの詩をグループで選び、「台本」として場面を作ってみる。
  ポイント:●セリフを作って加える ●他の登場人物を考える ●登場人物を身体的に造形する
4.グループごとに撮影 10min
5.リフレクションシート記入     15min

3年生までの表現ワークショップから、一歩ステップアップする4年生の表現ワークショップ初日。新しく出会う大人たち、慣れない授業を前にして少々緊張ぎみの面持ちがちらほら・・・。

はじめのワークの「だるまさんが・・・」ではそんな緊張の中で、様々な表現が生まれていました。「怒っているけど我慢している人」では顔を真っ赤にして息を殺している子や、唸り声を出している子、「扇風機」では身体全体を駆使して回旋を表現する子、恥ずかしさからかまだ上手く乗り切れない子。みんなそれぞれの身体と頭をしぼって、その場から逃げることなく、表現することに取り組んでいました。
まどみちおさんの詩を用いたワークでは、それぞれのアイディアが爆発。細かい設定に凝ってみたり、みんなで協力して一つの花を表現してみたりと、エンジン全開。盛り上がって収集がつかなくなるかと思いきや、その直後の中島さんの説明を静かに真剣に聞く4年生。詩の読解もスピーディーかつユニークで素晴らしかったです。その後の班に分かれてのワークでも、「話し合いを通してみんなで決める」という班がたくさん見受けられました。「話し合い」は「自分の心の声をききながら、他の人の声もきく」というとても難しいこと。自分の心の声を強く持ち続けることも、時には人にゆずることも、どちらも大切なことで、その狭間で揺れる脱皮寸前のさなぎたちがうずうずしていました。

二日目の省察ではそのさなぎのみんなへ先生が、脱皮へのヒントを自分たちでみつけられるようなふりかえりの授業をしてくださいました。どうして楽しいと感じたんだろう、どうして話し合いが上手くいったのかな・・・。上手くいったことを認めて、ヒントを自分たちの中から見出だし、次へのステップへとつなげる素晴らしい授業でした。
そのふりかえりを経た子どもたちのその後のワーク。もともと持っているアイディア力を武器にして「きく」力をレベルアップした彼らはもう止まらない。大人では考えつかない面白アイディアてんこ盛りの班、自分のやりたい気持ちを我慢しもやもやしながらもみんなで一つの発表を完成させた班、1日目は乗り切れなかったけれど自分の気持ちを伝えられるようになり、アイディアを出し受け入れ、発表をやり切った班。すべての班が発表をつくり、動画に納めることができました。
さなぎから脱皮した蝶の幻影がみえたような・・・。

四年生、きっとこれからもたくさんの出会いの中で、優しく子どもたち思いな先生に見守られながら、日々成長し続けていくのだろうと思いました。
(ゆかぽん) 

「きくの花」「おじいさん」「まご」の中でなりたいものを選んで、それぞれのグループに分かれる活動、「おじいさん」のグループでは紙に書いたお互いの設定を見合うことで、それに刺激を受け、どんどん自分の設定を発展させていくということが起こりました。その結果、身長190cmオーバーのおじいさん、体重が200kg超えているおじいさん、年齢が200歳以上のおじいさんが複数名現れました。クイーンが好きなあまり名前を「フレディ・マーキュリー」にしてしまったおじいさんや、もはや人間ではなくドラゴンのおじいさんも(確かに人間のおじいさんじゃなきゃダメとは誰も言っていません)。こんなスーパーおじいさん軍団が現れることになるとは予想もしていなかった。
ふざけているといえばその通りなのですが、それは裏返せば「自由な発想」であり、何よりみんな自分が書いた設定を楽しみ、そして演じようとしてくれたので、とても良い「演劇」の時間になったと思います。
(ホーリー)

K君が怪獣役をやりたい!と、詩の中には居なかったキャラクターを生み出した。クラスで絵本係のT君がそのキャラクターを作品の中に位置づける。NさんMさんはお星様役。ぼく(T君)がお星様(NさんMさん)を見ていたら、異質な雰囲気を漂わせる謎の物体が…それは怪獣(K君)だ!と3人が気づく、ぼくとお星様達は(宇宙の彼方へ?)逃げる!という流れ。それぞれが作品の中での役割を理解し自分の中で深めていく。T君は台詞を付け足し、NさんMさんはお星様ポーズを考え、K君は登場の仕方、追いかけ方を考えていた。発想の自由、心身の解放、創作を楽しんでいる姿に魅せられて、私もいつの間にか夢中で一緒に創作していた。彼らの中には、どんなものが刻まれたのかなぁ。
(もっちー)