鹿野学園4年生⑤じゆう劇場「『赤ずきん』から生まれたもの」(2023年11月)
●活動目標:障がいと社会との間の壁はみんなで考えていくものだと気づく
●狙い:障がいの有無に関わらず、どのように他者との関わりが可能なのかを発案していく
2023年11月29日(水)・30日(木) 3・4校時(10:35〜12:10)
進行:中島 サポート:安田、中川、武中 撮影:奥田、坂口
じゆう劇場メンバー:北村未菜、和田尚也、井谷優太、島田ひかる
0.中島さんからのメッセージ 5min
じゆう劇場の紹介・「赤ずきん」のお話から新たに生まれる物語だということを伝える、心の壁とは何か考えてみようと提起する
1.「あかずきんから生まれたもの」劇を観る 30min
2.意見交換・発表〈グループ〉 10min
劇中の“公民館の人”はなぜ採用を渋ったのか考えてみる。グループごとに分かれて自由に意見を出し合う。
→児童の意見:例えば目が見えない人は子供を傷つけてしまうかもしれないから、子供にとっても障がいがある人にとっても危ない、と考えたのではないか。周りから心ないことを言われた時、障がいがある人が演劇をやめてしまうくらい傷ついてしまうのでよくない、と考えたのだと思う。足に障がいのある人がステージから落ちてしまったり、それで子供たちが怪我をしたらと思うと安全が守られる保証がない。
→中島さん・じゆう劇場のメンバーより:段差のないステージにすることでステージから落ちる危険は回避できる。このように障がいとなるものをなくしたり工夫することでできることが広がる。サポートが必要ない場所にすることで本来の「演劇」が立ってくる。
→児童の意見:障がいがある人でもない人でも協力して劇を作れば普通の劇と変わらないくらいいいものができるんだと思った
3.ゲーム 25min
◉名前でポーズ・・・輪になり、一人ずつ順にポーズをつけながら呼ばれたい名前を言う。それを全員で繰り返す。
→相手の様子を見て応えることや肯定されることで安心感につながる。なかなかポーズが決められないクラスメイトへの助言が見られ温かい光景だった。
◉集まってポン・・・お題に対して自分の意見を決めたあと、呼びかけ合い、同意見の者同士がグループを作って「ポン!」と締める。
→自己主張と周りの様子を見て動くことを同時に行うのが少し難しい。障がいによっては言葉の呼びかけや歩き回ることが苦手な人もいるので、何度か繰り返すうち児童の動きが変わってきたのがわかった。
4.ゲーム〈グループ〉 15min
◉見つけて共通点・・・グループメンバーの面白い共通点を見つけるため、会話を活性化しコミュニケーションを取る。
→なかなか会話に繋がらないグループは鳥劇メンバーや学校の先生がサポートに入る。最終的には年齢、性別、障がいの有無を超えて「ケーキを食べるとき付いているフィルムを舐める」や「二度寝をするが2度目は自力で起きる」など発想豊かな面白いものがたくさん出ていた。
5.リフレクションシート記入 5min
+++++2日目+++++
6.振り返り・先生のお話 10min
前日のリフレクションシートによるとだんだんテンションが上がった人がほとんど。楽しかったと感じたのは一つに「共通点」が見つけられたから、との結論が生まれる。また、じゆう劇場のメンバーにどんな障がいを持っているかを含めた自己紹介をしてもらい、お互いの理解を深めた。
7.“公民館の人”になってみよう・発表〈グループ〉
“乱入する児童館の子ども“になってみよう 35min
自分がお芝居の中の公民館の人だったらどんな反応をするか、グループで話し合い発表する。次いで、本来のお芝居にはない、児童館の子がやりとりを聞いていたとしたら…の設定でも演技&意見を披露してもらう。
→これまでのワークショップを通して児童の心にどんな変化が生じているか、またいろんな立場の人の目線で考えることで新しい反応が生まれていた。乱入する児童館の子どもになりきる姿はユーモアがあり、しかし心を動かす懸命さがあった。印象に残った言葉は「障がいのある人が居ることで、より誰でもできる劇になると思う」というもの。
→中島さんより:障がいは周りが変われば消える。障がいはその人にあるものではなく、その人と周りの人の関わりの中で生まれるもの。
8. ゲーム・テーマソングの振り付けを考える・発表〈グループ〉 30min
前日と同じゲームをし、コミュニケーションを図る。
9. 終わりに・意見発表 15min
初めて会う人に対して緊張したり、どう接して良いか分からず距離を置いてしまうのは誰でもあること。しかし、知ることで心の壁はなくすことができる、と伝える。児童からは「心がほわほわになった」と言う言葉が出たが、これはお互いの良さを知り一歩仲良くなれた証のような、尊い言葉だと感じた。4年生は純粋さと社会的視点を併せ持つ年代で、今回のテーマに対しても屈託のない意見を素直に聞けたことは私たちの大きな気づきであった。