青谷高校⑥ 「穴あき台本を使って発表してみよう」(2025年11月)
日時:2025年11月12日(水)3・4時限 10:55〜12:35
会場:青谷高校 武道場
担当:石丸先生、山根先生
進行:小菅 サポート:田中
●今日は台本を使います 説明10min

前回のお芝居づくりから一週間が経ちました。
「今回は台本を使って、お芝居をつくり発表します」と小菅さん。
みなさんの手元に台本が配られます。しかしこの台本、ところどころに空白(穴あき)があります。流れは、ある日学校へ転校生がやってきます。そこで先生は出ていき、クラスの人と転校生が話をする、というシンプルな構造。そ転校生の名前や出身地、好きな科目などの部分に穴が空いているので、グループで話し合いながら進めていきます。
そして前回とは違い、台本にセリフが書かれているので、その登場人物が取り巻かれる状況の読みとりが求められます。「この人物はこんな感じかな?」「人物がどんな人かな?
」と話ながら、想像力を働かせてくれました。
- 穴埋めの時間 15min
チーム分けは前回と同じ。穴あきの内容をサクサクと決めて進んでいくグループと、静かにぽつぽつと進むグループ。せんちゃんが一緒に入っていたグループでは、「沖縄から来たらおもしろいんじゃない?」と生徒さんの1人が言って沖縄から来たという設定になりました。沖縄にちなんで、転校生の名前は「アンダギーさん」に決まりました。もう一方のグループは、動物の学校という設定にしたようです。会話の流れや登場人物の人数は決まっているので、穴に言葉を入れることで、どんな雰囲気の作品になるかが決まってきます。制限があることで、より想像力が深まっていくようでした。
●練習タイム! 40min(途中休憩を除く)

まずは座って、作った台本をセリフをなぞりながら、読んでいきます。笑いが生まれる場所、間があくところなどが自然に発生し、台本に書かれていない言葉以外の情報が少しずつ見えてきます。
また、高校生たちの日常が垣間見える部分も。先生が入ってくるまでの会話。「あそこでさ、怒鳴ってたじゃん」「見たー?」みたいな、高校生の生活の一場面がとてもリアルでした。
休憩を挟んで、立ち稽古へ。椅子を使ったり、空間を考える(ドアがどこか、黒板がどこか、席の配置)ことが増えました。より立体化した感じです。
ここは舞台なので、半分嘘の空間。お客さんに見やすいように、席を斜めにしたり、教壇を若干お客さんのほうに向けたり。小菅さんがアドバイスしたり、本人たちも意見を言ってくれて、楽しんでやっていました。意見を引っ張るということはしなくても、生徒のみなさんから出てきた意見を肯定していく。深めたら、より状況がクリアになりそうなことは深掘りしてみる。そんな小菅さんの伴走もあり、作品づくりが進んでいきます。
先生方も一緒に作品をつくるのに参加して、生徒の方と一緒になって意見を出して、練習に参加してくれています。生徒さんも、普段見ることのない先生の姿を見れて、楽しそう!
- 発表タイム 15min

お互いの作品を見合うのも楽しそうです。沖縄から来たアンダギーさん、設定が動物の学校だったりと、互いの発表を見て発見があったみたいです。あれは、どんなことを表していたんだろう?と問いをもったり、そんなやり方があるのか!と驚いたりしていました。
最後に、小菅さんが「今日は楽しかったですか?」と聞くと、笑顔でうなづくみなさん。次回は、少し応用バージョンをやってみましょう。ということで本日のワークショップは終了!
<今日の対話メモ>
日常生活では決して許されない行為が、演劇の中では題材として扱われることがあるという話もあがりました。というのも今回、作品づくりの途中で「動物が人を殺す」という設定がアイデアで出てきたとき、先生が「大丈夫ですか?」と心配されたということがあったようです。でも小菅さんは、「演劇の世界でなら、これは“あり”です」と話していた。
もちろん、日常の倫理観を軽く扱うわけではなく、むしろ逆で、舞台の上では、ふだん言葉にしづらいことや、直視できないテーマが、扱う意味が出ることがあるといいます。演劇は、起きてしまった行為そのものを肯定するのではなく、そこに至る理由や背景を「どうしてなんだろう」と考える場になります。
人を殺す、といった極端な行為が置かれることで、「なぜそんなことが起きてしまうのか」
「その前にはどんな関係や感情があったのか」ということを考える入り口になるのだという話をしました。
倫理的に難しいテーマだからこそ、その向こうにある気持ちや関係を探ることができるのが、演劇のもつ力で、それを議論できたのはいい時間だったなーと思います!
また来週会いましょう。
★生徒さんからの感想
・違うチームの劇がめっちゃ面白かった。1から台本のセリフを考えて、その役を決めて演技するのが難しかったけど楽しさもあった。
・みんなで台本を考えるのがとても楽しかったです。
・セリフを覚えるのが大変だったけど面白かったです。