鹿野学園5年生 2018年10月レポート3セット目

鹿野学園5年生 表鷲科 表現ワークショップレポート

●活動目標 「五感の表現に挑戦してみよう!」
●学習目標 「演劇の基本である認識から行動へのつながりを確認し、
物事の論理的なつながりを知ってもらう」
〜架空の何かを想定し、それを認識し、その認識をみんなで共有し、次の行動へと展開〜

・ファシリテーター:中島諒人
・サポート:中川玲奈・高橋等・安田茉耶・浜田連珠
・撮影:奥田有紀子・浜田連珠

『1日目』 10/2 3•4限 10:45〜12:20

⒈ 足ジャンケン(アイスブレイク) 15分
ランダムに相手を変えて、次から次へと足でジャンケンをする。
五回勝ち抜いたらウィナーズステージで高みの見物。
・二回やったが、1stステージ、2ndステージ、両方とも負け残る人が二人いた。
・二人の様子をみると、二人とも相手を選ぶのに消極的。
みずから動いて相手をみつけるのではなく、相手が挑戦してくるのを待ってるかんじだった。

⒉ いろんな「見る」をやってみよう(アイスブレイク) 15分
五感の一つ「見る」をやってみる。「じっと見る」「見上げる」「見下ろす」「目を細めて見る」「チラチラ見る」などいろいろな見方で誰かを見る。対象を決めることで見方が決まることに気づくはず。
「きっかけがないと はじまらない」を合言葉に行った。

振り返り
・「きっかけがないと はじまらない」というフレーズは、
前年から中島がM君と一緒に行っているキャッチフレーズ。(「いってもいいかなー」「いいともー」みたいなコール&レスポンスのようなもの)
M君は久しぶりだったので緊張していたせいかNG連発。
でもおかげでクラス全体の緊張もとけ、表現ワークショップがどういうものか思い出せたみたいだ。
・いろんな「見る」 対象人物によって見方を変えてみる
だれだれを「じっと見る」「見上げる」「見下ろす」「目を細めて見る」「チラチラ見る」などをやってみて、
それによってちょっと感情にも変化がおこるのが少しわかるようだった。
S君は人の背後についてその人を見るというただのストーカーと化していた。
でも、S君はそういう悪ふざけが好きな子だと皆認識しているのであまり問題はない。むしろ最後はあきられてた。

⒊ 「五感」の表現をやってみよう (20分)
「五感」って何?「見る」「聞く」「かぐ」「味わう」「さわる」の五つの感覚だよね。
ではそれらをつかって鳥劇の人がこれから何かをします。さて何をしてるところでしょーか。と「五感」の表現をクイズにしてみる。
・チョコを食べている
・サボテンさわっている

ではこれを例にして、皆で「五感」のうち、二つを使って全員でその状況を表現してみてください。その前に班わけしまーす。事前に鳥劇が考えてきた班にみんな分かれてくださーい。
時間がきたら5班ごとに発表してもらいまーす。(4人グループ5班)
といったところで一時限目終了 5分の休憩でーす。

<振り返り>
・休憩なのにどの班も話し合いに熱中。こういうところがこの学年のスゴイところなんだよね。そう、鹿学5年生は去年、表鷲科のモデルケースとなったクラスなんだよね。だからこういう即興で芝居をつくる時の集中力は、休憩するのを忘れるくらいなんだよね。

 

⒋ 「五感」の表現をやってみようの続き(20分)
休憩が終わって4時限目に突入。
「五感」のうち「二つ」を使うというのがひっかかってるようなので「二つ」を「一つ」に変更。
班分けをしてからの子供たちの様子は自分の班のことしかわからないので、自分が担当した班の様子を書きます。

我が班のメンバーは冷静・まじめなバイプレイヤータイプのM君。思い込んだら一直線・常にテンションMAXのS君。とにかくしきる・アイデア豊富な演出家タイプのNさん。奇想天外の発想・アドリブに強い主演女優タイプのUさんの4人。
いきなりS君の「シンゴジラ」がやりたい発言でテンションがダダさがり。
女子二人は「シンゴジラってわからんし」と反撃。「じゃ ゴジラ」「だからゴジラとか恐竜とかわたしらわからんから」。どうも目標を失っているようなので「五感のうちなにを使おうか」とアドバイス。「見る」でいくことに。
「何を見る?」「海」「海で何を見る?」「人魚とか出てきたらおもしろくない?」とUさん。
「じゃ俺、人魚やる」とまたまたS君が人魚ポーズをしながら発言。
ふたたび女子の目に殺気が走る。
「何であんたが人魚なのよ気持ち悪い。」「じゃ サメ」「もうわけわかんない」
あ、この班やばいかも。
と思ったところでタイムアップ。

<振り返り>
この班はとにかく個性が強いキャラが多く、人前でも照れ笑いをしたり、恥ずかしがったりとかは絶対しない班なので、極力自分たちだけで考えさせようとしたのだが、S君という超自由人がいるため、まとまるものもまとまらずピンチ。でも去年の経験から(2017年度鹿野小学校4年生実施のWS)いえば、こういう子たちって机の上の話し合いって大体まとまらないんだよね。でもイザ板の上に立っちゃえばなんとかしてくれるもんなんだ。

 

⒌ 発表 20分
・1班 二人が物干し竿を表現、一人が洗濯物(Tシャツ)を表現、
もう一人がかわいた洗濯物を竿からおろして着てみるが、何か違和感が。
なんかにおう。いや、くさい、なんだこれは・・・カメムシだ。

・2班 鳥劇の浜田サポーターを店員に使い、二人が客として来店。浜田店員が注文の品を運んでくる。この客はそれをそれぞれ中央に置くと、残りの二人はジューと音を出す。しばらくして客の二人はその二つの物体をひっくり返す。何度かひっくり返して二人で味わう。
どうやらお肉(カルビ)らしい。

・3班 プレイルームの階段の部分を舞台に3人がアトランダムに座ると、先生らしき人がテストをくばる。生徒はテストを開始。そのうちの一人がとなりの生徒のほうをチラチラみはじめる。カンニングをしているらしい。テスト終了後、後ろの生徒が先生に耳打ちをする、先生が「〇〇君あとで職員室に来なさい。」と告げる。

・4班 プレイルームひなだんのステージが舞台。二人が海に釣りに来ると、大物がかかったようだ。竿をあげてみると、かかったのは大きなサメだった。びっくりして逃げる二人。ビチビチ陸ではねているサメ。ただ波だけは押しては返しその光景をみつめているのであった。

・5班 お母さんが三人の子供にオムライスを作ってあげる。
ケチャップがかかってないと文句を言う子供たち。お母さんは冷蔵庫からケチャップだと思ってオムライスにかけたものはタバスコだった。
大量のタバスコオムライスに子供達はヒーヒーいって味わう。

<振り返り>
自分が担当した班の様子を書きます。
なにも決まらずにぶっつけ本番になった彼ら。他の班の発表をみてるうちにNさんに「ひらめきの神様」が降りてきたらしく、出番前にウさんに「サメを釣ることにしよう」と耳打ち、そしてS君にサメ、M君に波をやるように指示。
そしてM君は寝返りを打つことで波を表現。S君は「ガオー」と言いながら床をはいずりまわる。そこへ二人で一本の竿をもってNさんとUさんが登場。N「大物が釣れるといいね」U「人魚が釣れたりして」N「そんなの釣れるわけないじゃん、何わけわかんないこといってんの」U「はい、エサのチョコ」N「あ、いいね」と軽快な漫才のように始める。これ全部アドリブだからすごいよね。しかも人魚とかチョコとかのボケをかまして。発表前に中島が「『おもしろく』発表しなさい」と注文をつけたので「おもしろく」をギャグと捉えたふしはあるものの、条件をクリアしようとしているのが、けなげだよね。

 

⒍ おまけ 5分
1班がもう一つできたというのでやってもらう。
場所は中庭に面した窓。座敷童子がいるという館へ、三人が肝試しにやってくる。何かを感じながら「何もなかったよね」と言って館から出てくる三人。でも柱のかげには座敷童子が…。
中島「こ、これは・・・もしかしたら 第六感?」
というわけでもっと広げられるのでは、と鳥劇チームでこれをやってみる。

<振り返り>
1班の人たちの怖がり方がイマイチわかりにくかったので鳥劇チームでお手本を。という思いでやってみたのだが、打ち合わせなしでやったため、中途半端なお手本になってしまった。
こうしてみると4班のぶっつけアドリブ劇は大したもんだった。
⒎ リフレクションシート(5分) 1日目終了

 

 

 

『2日目』 10/3 5・6限 13:55〜15:25

⒈ 昨日の振り返り 20分
(1) 笑顔ラッシュ(子供達の笑顔の写真のスライドショー)をモニターで全員で見る
(2) 班ごとに昨日の発表をタブレットで再生して振り返り。もっと良くするにはどうしたらいいか考える。

<振り返り>
「笑顔ラッシュ」は好評だったが、「班ごとに振り返る」は再生機器からの音声がほとんど聞こえず不評。でも昨日の記憶をよみがえらせるのには効果があったみたいで、波の役は「ザザー」と波の音を出しながらやった方が、より波らしくなるとか「見る」という五感のテーマだったのにサメを見た瞬間すぐに逃げてしまい、あまり見てる感じがしていないなどの反省点が出た。

 

⒉ 昨日やったカンニング班の表現をもっとよくしてみよう
昨日のカンニング班の表現は、なぜ観客にわかりづらかったのか鳥劇が同じ状況をやってみる。
それを見てどう違ったのか感想を発表。

<振り返り>
「カンニングする人がガン見だ。」という意見が多かった。
そう、実際カンニングする人はバレないように、いかにも自然に答案用紙に書き込んでいるかのように演技しなければいけない。でも、観客にわからせるためには、カンニングしている人が不自然な動きをする必要があるのだ。昨日のカンニング班の表現がわかりづらかったのは、あまりにもリアリズムを追求しすぎたためなのだ。
実際「いつもしているようにやればいいじゃん」という意見もあったのだが、だからこそ「いつもしてるように」しちゃいけないのだ。というか、いつもしてたらダメじゃん。カンニングだよ、先生ここにいるんだよ。えーさっきの発言はオフレコってことで・・・。

 

⒊ お題に沿って「五感」を二つ表現してみよう。
・パンダ
・おこったお母さん
・ベートーベン
・かき氷
・くつ下
・ピアノ
以上のお題から各班で選んで「五感」のうち二つ、例えば「見る」と「かぐ」を表現する。

(1) まずは「お題ドラフト会議」
会議の結果
・1班 かき氷
・2班 ピアノ
・3班 くつ下
・4班 パンダ
・5班 おこったお母さん となりました。

<振り返り>
割とかぶることなくすんなりいったような気がする。昨日あんなにお題でもめた我が班も、
動物好きのS君と可愛いもの好きの女子二人の意見が合い、すんなり「パンダ」で決まった。

 

(2) 各班で話し合い
「五感」のうち何と何を盛り込んでお題と組み合わせるのか、
どんなストーリーにするのか各班で話し合う

<振り返り>
「五感」のうちなにを使うか。Uさんからパンダの匂いかいだら「ハンバーガー」の匂いがしたってのはどう?という案がでる。あとはやはり「見る」かな。
じゃ、どこで見る?動物園?それともどっかからノラパンダが出てくる?
Nさんが無人島のジャングルからパンダが出てくる案がでる。そしてS君はパンダのモノマネを始める。

 

(3) そのものの名前出しNG縛り
きゅうきょ中島が「会話の中でそのものを表す名前を出すのはダメ」と発表。

<振り返り>
「じゃ皆でパンダのことをダンパと呼ぶことにしよう」とS君が提案。中島に即却下される。
でもNさんが「『白と黒のアレ』ということにしよう」とひそひそ提案。特徴を言うことは観察していることすなわち「見る」ことを表すからいいかも。さて、どうやって無人島へ行くことにするのか。というか、そもそも皆の関係は何?友達で決まり。ここでNさんにひらめきが。
仲良しグループがいかだを作って冒険の旅に出ると難破して無人島に漂着して、食料を探しに行くとジャングルからパンダが・・・。
ジャングルにパンダはいない、竹林にしようとS君がつっこむ。じゃあ中国の無人島ということにしようとUさん。じゃ、ここまでリハしてみよう。リハなんて言葉が出てるよ、すごいねこの子たち。無人島で気絶から目覚めてみんなを起こす役はM君ね。そう役割さえ与えられればそれ遂行するのがM君の真骨頂。何も言われなくても先陣を切って歩く、それがS君。さてこのまま行くとパンダ発見はS君ということになるが「あれ?何あの黒と白のやつ」おっとさすがは意表をつくファンタジスタUさん。最後尾から後ろを振り向いて発見しちゃったよ。そして持ち上げるやいなや、匂いをかぐ…って、ちっちゃ。パンダちっちゃ。マルチーズの大きさだよそりゃ。
「ハンバーガーの匂いがする」「どれどれ」とS君パンダ持とうとして落っことしちゃったよ。
まぁ、どの子も芸がこまかいこと。何よりもサイズを共有してるもんね。イメージが共有されてるってことだからね。この年齢の子たちにはなかなかできないことだよ。それだけ集中力がいるってことだからね。

Nさん「この子、みんなのペットにしようよ。名前なんにする?」Sさん「シャンシャン」Nさん「ダメ、それじゃパンダって言ってるようなもんだからね。名前言っちゃいけないってさっき言われたじゃん。じゃ、『さあ、名前何にする?』ってとこで終わりにしよう」
なんというセンス!思わず心の中でトレビアーン

⒋ 発表
順番・内容

① パンダ班(4班) イカダが難破した原因はS君が開けた穴だった所以外は、練習と同じ内容。

② くつ下班(3班) まず宇宙人が登場。「コレハナンダロウ、タベテミヨウ。」
と、宇宙語で話し、くつ下を食べる。あまりのまずさに宇宙船の外に
捨ててしまう(味わう)。小学生の集団にくつ下が落ちる。頭にくつ下がのっていることに気がついた一人が思わずにおいをかいでしまう(かぐ)。あまりのくささに横にいた一人にそれをかがせる。その子もまた、横にいた一人にかがせる。負の連鎖で終わる。

③ おこったお母さん班(5班) 長男がお母さんにしかられている。それが隣の部屋にいる
双子の妹たちに聞こえてくる(聞く)。様子を見に行った妹たちは母にみつかり、まきこまれ事故に合うかのごとく、一緒にしかられる。あまりにうるさかったのか隣人が訪ねてくる。三人が正座させられてしかられているのを見る(見る)。

④ かき氷班(1班) 客Aが店員にかき氷を注文。運ばれてきたかき氷を食べる(味わう)客B
がかき氷を注文しようとするがお金がないことに気づき、いったん出る。客Aがもう一杯注文。店員、運ぶ途中ひっくり返す。即、作り直してくる。客A食べ始める。そこへ客Cが注文を入れるが、つくり直した品で最後であった。そこへ客Bがお金を持って登場するも、販売終了と聞いてガッカリ。客Bと客Cは店の外から美味しそうにかき氷を食べてる客Aをうらめしそうに見るのであった(見る)。

⑤ ピアノ班(2班)ピアノの発表会。1台のピアノを連弾する二人の奏者。それを
うっとりと聴く客(聞く)。そしてそれをテレビで見ているお茶の間の男(見る)。

 

<振り返り>
ピアノ班が二重構造、演劇の世界で言う「いれこ」の手法を使っているのが印象的だった。また、各班がちゃんと情報を共有し、そこで何かが起こったらこのように反応すべきだと認識しているのが素晴らしかった。ちゃんと学習テーマを把握していた。

⒌ 先生の感想

⒍ リフレクションシート