鹿野学園7年生③「ダンスワークショップ」(2020年9月)

☆活動目標: オリジナルダンスをつくってみよう!
☆学習目標: 踊ることが目的ではなく、楽しむことが大事。振り付けのない即興的なダンスや身体表現に挑戦する。

進行:ふじちゃん=藤田善宏(ダンサー)
コーディネーター:髙橋健太郎(青山学院大学特別研究員)
記録:中川、藤木、筧

■1日目̶̶[WS]9/29(火)2,3校時9:45~10:35、10:45~11:35 @体育館
1.自己紹介
2.身体のストレッチ
3.2人で車
4.紙をつかったワーク
 (手でA4の紙を風圧で落とさないようにしながら、くるくる回す動作をします)
5.エアペーパー
 (紙をなくしたバージョンです)
6.身体で文字を書く
7.身体文字しりとり
8.皆で「鹿野学園」のダンスをつくる
9.リフレクションシートの記入

カウントで踊るのではなく、いろんな体の動きを“発見”していく活動。初めからめいっぱい体を動かす人もいれば、「これは何だろう・・・?」と頭で意味を探っているような真剣なまなざしで取り組む人が多いのも、印象的でした。
ふじちゃんが色んなメニューを提案してくれるので、はたから見ているとオモロイ動きがちらほらありました!ふじちゃんや先生方は、「足を使うこと」「目をつむること」をすぐやれていたことに感心していました。

■2日目̶̶[省察&もっとやってみる]9/30(水)2,3校時9:45~10:35、10:45~11:35 @体育館
〈省察〉はO先生と、RSを元に一つ一つ思い出しながら体を動かしてみよう。
〈省察後の活動〉では、K先生から「ダンスWSで学んだことを生かして、文化祭で発表しよう!」という提案に、生徒たちは・・・「なんで1回しかやってないダンスなんだ?!演劇なら何回かやったからまだわかるけど!」「そもそもステージ発表自体やだ、恥ずかしい。ビデオ作品じゃだめか?」とざわざわ。「まあまあ、君たちならできるよ。春から君たちのことを見てて、わかる!(確かに!)」「劇は声を出しちゃうから、感染症予防の意味でも声出さないものがよくて、」というK先生O先生。(どうなるやらと心配しつつ、こんなに生徒と先生が意見を言い合える関係がすばらしいな~と思います)
一転グループ活動になると、どうやってつくるかを活発に話し合っていて、最後にはグループごとに案を発表し合って終了。あんだけブーブー言ってたのに、結局どんどんやる人たち。この先が楽しみです。
ただ、思いやアイデアは面白いのですが、ダンス体験1回では、「イメージが体の動きに直結するおもしろさ」はまだ実感できていない人が多いかもしれません。先生方は「ある程度形になってきたら、やはりプロの藤田さんにアドバイスしてもらえたらありがたいのだけど、、、リモートででも、、、。でもまずは、自分たちでどこまでやれるか、ですね。」と、長い目で見守りつつ支えていくようです。

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コーディネーター 髙橋健太郎(青山学院大学特別研究員)
今回、鳥取市鹿野町鹿野学園の児童・生徒たちとのワークショップに講師の藤田善宏氏のコーディネートという役回りで参加させていただきましたが、鹿野学園の児童・生徒たちが学校外の人間(未知の存在)とも一緒に何かを表現すること・学ぶことを恐れていなかったことがとても心強いと感じました。知らない人間と触れ合うことを恐れていないということは、不寛容がはびこってしまっている今の社会を生きる上での一つの理想的な心構えではないかと思います。またそれは普段から鹿野学園と鳥の劇場さんが表鷲科の授業の中で、普段の義務教育の科目の中では身につけられない、表現できないような学びを連携を図りながらワークショップという方法で実践されているからこそ可能だったことなのだろうと思います。

鹿野学園の先生方も、今回のワークショップの講師(アーティスト)から何か教え方の技術を盗み取ろうとする「学びの姿勢」を強く感じ、その意欲は一重に、児童・生徒たちにとっての最大の幸せや学びとはなんだろうかと常に考えていらっしゃるからこそあり得たのだろうと思います。それは言い方を変えると、子どもたちが主役の学校を目指そうとされているのだろうなと思いました。今回ワークショップでは、実際のワークの前後に講師側と学校側で事前の懸念事項の共有や、ワーク後には振り返りを共に出来たことが非常に意義深く感じられました。当初抱く子どもたちへの印象から、子どもたちがどのように変化して行ったのかという点の共有を事後に出来ることで、鹿野学園の先生たちにとっても、ワークショップの講師が着目する点と、教師としての着目する点でどのような差異があるかなどを再認識できる機会になっていたと思います。またワークを先生たちも客観的に観察することで、子どもたちの別の一面、今までの教室での教師としての関わり方だけでは見られなかった側面などを再発見できる機会となり、子どもたちがどれほど、良い意味での「常識にとらわれない、自由な発想を持っているかを理解できるきっかけになったのではないかと思います。また、ワークショップの講師であるアーティスト側としても事後に先生方と振り返りができることで、社会的にも希有な存在として生きているアーティストの活動の肯定、あるいはワークショップでの活動に重要な意味付けがなされると云う点に置いて、教師と講師がお互いに創発的に理想的な関係を気付けているのではないかと思います。ぜひこれからも中長期的な視野で、児童・生徒たちの変化を観察して行ければ幸いです。