鹿野学園4年生①「短い詩から芝居を作る」(2022年6月)

2022年6月9日(木)、10日(金) 3・4校時10:35〜12:10
進行:中島 補助:中川、高橋、小口、宮下 撮影:奥田、藤木

☆学習目標:没入する それを楽しむ 人のそれぞれを邪魔しない それぞれを大切にする

1 課題提示 演劇を作ろう 
演劇には物語が必要  短い物語から演劇を作ろう

2 詩を読む
どういう世界かを感じてみよう 班(3人1組)ごとに それを大人が聞く

3 要素に分解、具体的に 登場人物
きく おじいさん 自分 どんなおじいさん 自分は何歳 菊は何本、何色

4 全員で 
きくになる 
あさがおになる
ちゅーりっぷになる
おじいさんになる
いぬになる

5 関わりの場面の前に人の体のさわり方動かし方 
二人が気持ちを合わせる 
 班で順番に
 一方がいぬになり、一方が運ぶ
 一方が丸太になり、一方が運ぶ
 一方が家になり、一方が運ぶ

6 関わりを作ろう 
きくとおじいさん の場面
きくと自分 の場面
 虫をとる、水をやる

7 芝居にしよう!
場所をきめる
はじまり>できごと>おわり

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今回初参加のきょんです。
鹿野学園の4年生、総勢33人が3人グループを作り11組でのワークを行いました。
初めはいろんなものになりきりました。犬や猫の動物から朝顔や丸太という無機物まで、、、みんな恥ずかしがるかなと思いきやそれぞれ没入して各々の表現を楽しんでいる様子でした。そして人の没入を邪魔するのではなく、何も言わずともその役になりきりながら他の役と関わりを持ったりと、自ら進んでワークを楽しんでいる生徒が多くいて、なんて創造性のある学年なんだろう、とびっくり!!今までの3年間で構築された「お芝居を楽しむ精神」が存分に生きた表現でした。
次のワークではまどみちお作『きくのはな』という詩を読みました。そこでは「きく」は登場人物になるのか否かという活発な議論が生まれ、「きく」は人じゃないし喋れないので「登場人物」じゃないという意見と、「物」という漢字もついているから登場人物になるし、そもそも「きく」は生きているから「登場人物」になりうる、それを掘り下げればこの詩の中に書かれていなくとも「空気」や「匂い」や「地面」だって「登場人物」だという、意見に分かれました。とても有意義な議論が繰り広げられ、この議論によって様々な捉え方ができたし、なんでもありなんだという演劇の多様性を感じることができました。
詩をもとにお芝居を作るというワークではいろんなアイディアが生まれました。登場人物である「きく」が水をもらっておじいさんと喜ぶという作品が出来上がったり、元気になりすぎてびっくりして「きく」もおじいさんも倒れてしまうという奇想天外で面白い発想で盛り上げてくれた班もありました。
2日目は省察をした後、その詩をもとに一つの作品をグループごとに作り発表の段階にまでもっていきました。時間がない中抜群のチームワークを発揮したチームもあれば、はたまた意見が食い違ったまま噛み合わずになかなかまとまらないチームもありました。しかし、自分達の意見が言える「やりたい」と素直に言えたり、自分のこだわりポイントを見つけて相手にきちんと伝えることができるというのは成長過程の一部であるし、良い傾向にあるのだとポジティブに捉え、また次の機会に繋げてくれればいいなと思います。この発表では普段の学校生活とは違う一面を見せることができた生徒も多く、33人33色、11グループ11形の色んな『きくのはな』をみることができました。
グループワークがうまくいかず、泣いてしまった生徒に対してファシリテーターである中島さんが「失敗したって大丈夫。」というポロッと仰った一言がとても腑に落ちて、この鹿野学園の「表鷲科」という授業は色んな経験や色んな感情を抱ける、貴重な場なんだと改めて実感しました。ここでは失敗が経験できるし、なんでもあり、こんな事はこれからの人生の中で数少ないことで、生徒たちにはここで抱いた感情や経験を忘れずに、大切に胸の中にしまっておいてほしいです。
演劇ってハードルが高いものだと思いがちですが自分が意識していないうちにいつの間にか「演劇」が出来上がっていたり、演劇って意外と簡単にできるものなんだと思えた生徒も多いんじゃないかなと思います。何よりも4年生たちのマスク越しからでもわかる、楽しそうなとびきり笑顔が見れてよかったです。楽しめていたならばそれが一番です、だって失敗したって大丈夫なんだから!!!